かよこのノート

 No.41 2007 RWC 3rd/4th play off & Final

<3rd/4th play off>
 開幕戦の結果は驚きではない、と断言した身としては、あれがフロック
じゃないと示すためにぜひArgentinaに今回も勝ってもらいたいと思って
いました。何より彼ら自身もそういう気持ちで一杯だったでしょう。そし
て仏はといえば当然リベンジを誓って臨んだ事でしょう。
3/4位決定戦というのは、あまり意味がない「イベント」と思いがちでした
が、この試合は、両チーム共に非常にモチベーションが高く、過去にない
熱戦となりました←開始2分弱でもう、ヒートアップした選手達の掴みあい
があったりして、ちょっと熱くなりすぎなくらい。
 結果は、Argentinaが見事に実力の証明をしてくれました。試合自体過去
にない熱戦、と書きましたが、Bronze medalの表彰で心底「おめでとう!」
と言いたくなったのも過去にはなく初めての事でした。本当に良かったと思
います。
 荒れ気味ではありましたが白熱した好ゲームで、正直に言うと仏もとても
良かったです。多くの人が、「勝敗結果」を見て、なんだ? 仏は実は弱い
のか? と判断するのだと思いますが、この試合の仏はなかなかどうして力
強かった。仏嫌いの私が言うんだから(笑)間違いないです、やるじゃん、
と思いました。要は、それを上回る位Argentinaが凄かったという事。先週
Springboksとやった時には何故だかPumasというよりは(借りて来た)ネコ
の如しだったのですが、この試合では爆発してました。プールのIreland戦
でも<爆>勝ぶりに「おおーっ!」と思いましたが、あの時は、SOエルナン
デスのやる事なす事、見事に決まっていてムッとする位(笑)の強さを感じ
たのですが、(準決勝も不調でしたがこの試合でも)彼のキックの調子がイ
マイチだったけどそんなの吹き飛ばしてしまうチームとしてのたくましさ。
ちょっぴり、Wilkinsonのキックが不調でも他のメンバーが踏ん張る
Englandの姿と重なる部分さえあって、前回、『まだ“琴線に触れる”よう
なラグビーは見せてもらってない。自分たちの流れに乗ってる時には文句な
くすごいけど、負け試合の中でもグッと沸き立ってくるようなチームとして
のアイデンテティというか、そういうものがまだ感じられなかった。だから
まだまだこれから』と注文をつけたばかりですが、早くもちょっと“雰囲気”
が出て来たかなあという印象を受けました(尤も今回も勝ち試合ですから、
「負けろ」と言ってるようで悪いのですが、負け試合で光るところも又見せ
てもらいたいものだと思ってしまったりなんかしています)。

<Final>
 『Englandが勝つ僅かな可能性の為の絶対条件はロースコアのゲームに持
ち込むこと』‥そう書いた通りの試合展開だったので、70分過ぎまで
England勝利を期待していました(‥前回白状した“ズレまくり”の心境ゆ
えに)が、う〜ん、惜しかったなあ。終わってみれば“予想通り”“順当”
な結果ですが、Springboksが(何と)ノートライだったのに対し、England
には(もちろん公式にはこちらもノートライですが)“幻のトライ”があっ
たので、余計に惜しく感じます。プリンス・ウィリアムが「頼むからトラ
イって言って〜!」みたいに両手を合わせて拝んでいた姿には、早朝から思
わず笑ってしまいました。王子ってば‥。しかしあれ、もしかすると逆効果
だったかも。(以下妄想です)レフリーのローランドさんにしたら、
England王子から「お願い!」って拝まれて「はい、わかりました」と言っ
たらIreland人の名がすたるってなもんでしょう。「トライと言いたいとこ
ろだが、Englandの奴の願いを聞くわけには‥ えーい、“タッチ”じゃ!」
←(笑)‥そんな事考えてジャッジしているわけはない‥はず‥。
 ドラマチック、という面では、前回大会決勝の方が試合としてはまさにド
ラマのような内容でしたが、今日もいくつも心に残るシーンがありました。
試合終了後の表情もとても印象的でした。大会中、表情一つ変えず冷静沈着
を保ち続けたSmitさんの、ふっきれた笑顔。ポーカーフェイスとは無縁の
ハバナの、嬉しくてたまらないといった無邪気な笑顔。そうそう、私が家
で“マットフィールドかシャバルかみたいに○○”と慣用句にしてしまっ
ている(○○の部分はご想像にお任せします)マットフィールド! Man
of the Matchに選ばれた彼が、とてもにこやかに穏やかにインタヴューに
応え、しかも賞のトロフィーを運んで来た子供に優し〜く微笑みかけヘッド
キャップ(W杯決勝で着用の! お宝!)をプレゼントしたのを見て、「へ
え〜」と思いました。よく考えたら(笑)試合前のインタヴューでも紳士的
かつ理知的に話していましたが、試合前はやっぱり○○という先入観があっ
て‥、でも決勝が終わったら「ただのお兄ちゃん」いや「すごく優しいお兄
ちゃん」と判明し、大変微笑ましく思いました。あと、南アといえば、やっ
ぱマンデラさんを思い起こします。地元での第3回大会ではSpringboksの
ジャージを来て登場、そして確かつい去年位もTriNationsの南ア開催試合
とかに姿を見せておられたと思います。今大会、直接の登場はなかったです
けど、今日は、どことなくマンデラさんを彷彿とさせるおじいちゃん(南ア
ラグビー協会の人かなんか)が来てらしたので、ああ、マンデラさんもここ
にいて見る事ができたら良かったのになあ、と思いました。
 さてEngland‥。Englandは全然負けてなかったから胸をはっていいと思い
ます。終盤ややキックを蹴り過ぎと感じる場面はありましたし、Wilkinson
のDG狙いも、今日は意外にもトライがとれそうな感触があっただけにもった
いない感がしましたが、結果論であり、功を奏していれば良くやった、とい
う事になるわけで、もう少しで誰もが予想だにしなかった連覇を達成できた
かもしれない紙一重のところまで迫っていたと思います。組み合わせに恵ま
れたとか運で掴んだ決勝進出ではなく、1試合1試合100%120%の力を注ぎ込
んで掴み獲ったのが素晴らしかった。それだけ全身全霊をかけて掴み獲った
チャンスだからこそ、あくまで本気で優勝したかったんだなあ、と伝わって
きたのが、Wilkinsonの、Silver Medalを首にかける事を拒んで手に握りし
めた姿でした。一見傲慢に見えるかもしれないけれど、これ迄の経緯、前回
大会後の4年間、今大会でのプールの南ア戦、そこからの闘い、を振り返れ
ば、理解できる。‥残念だったね。でも、今一度言うけど、Englandは胸を
はっていい。本人達は悔しくて仕方ないだろうけれど、私達からすれば、彼
らは見るべきもの(チーム)でした。
 もう一つ、BBCのサイトで、南アの貧民地区に住む子供達の間で
Springboksが“憧れの存在”となっていて、自分達もSpringboks(のよう)
になりたい、とラグビーをプレーする事のみならず生活の改善につながって
きている、というリポートを見つけました。マンデラさんと、このリポート、
ソウェト地区の子供達のお陰で、やっと、もやもやしたものなく(笑)「優
勝おめでとう、Boks!」と言える心境になってきました。今日はこの辺で。


                        
                            2007/10/21佳
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