No.74 花園二回戦

 二回戦。
 東海大仰星対京都成章。
二回戦のカードの中で最も「力の拮抗したチーム同士」の対戦。という事は、
初戦の硬さがない分だけ成章がやや有利。しかし仰星は、(前年花園の覇者
でありながら)初戦で敗退した去年の雪辱を晴らすべく大阪決勝で常翔との
接戦を制しての登場、負けるわけにいかないプライドがあるはず。勝敗の行
方は予測がつかない。どちらに天秤が傾くのだろう。ドキドキしながら見守
る。
 前半。スクラム、ラインアウト‥セットプレーで仰星が予想以上に優位に
たつ(スコア仰星7―0成章)。が、成章ももちろん厳しい試合に慣れている
ので崩れはしない。仰星が一気に主導権を握るでもなく、ジャブの打ち合い
のような感じでゲームが進む(拮抗したチーム同士の試合はどうしてもその
ようになりがち)。四分六位の感じで劣勢の印象だった成章が、前半終了間
際ゴール前でPKチャンスを得る。しかし、3点ではなくトライを狙いに行
き(緊張感溢れる試合のはずが思わずTVの前で大笑いしてしまった、ら、画
面に湯浅監督がうつってやっぱり苦笑いされてました)得点ならず。ここで、
「‥成章負けてへんなあ」という気がしたとは言え、「‥押され気味やな
あ‥」という苦しい感想を抱えたままハーフタイムを迎える。
 監督のアドバイスに耳を傾けるの宇野将史の表情が真剣である(←いつも
真剣です、念のため)。実はさっきのは、冷静な宇野君がここでPK選択しな
いのかよー、熱くなってるなー、という大笑い。ハーフタイムがまさに良い
「水入り」となり、頭をちょっぴり冷やしてハートは益々熱く燃やして、さ
あ後半。
 入りの成章のプレーに、もうジャブの打ち合いなんかじゃないぞ、の気合
いを見る。俄然勢いが出て来た成章。思わず受けに回る仰星から反則を引き
出し、今度は冷静にPK選択。ゴールキッカーでもある宇野君が、いつものよ
うに、思いをこめるかのように額をつけてからプレースして蹴ったボールは、
ポストの真ん中を射抜く。仰星7―3成章。そして畳み掛けるように、成章の、
前半は殆どそんな機会のなかったBK展開が鮮やかに決まる。右隅からの難し
いコンバージョンを成功させて、宇野君の顔が一瞬だけほころぶ。仰星7-10
成章。実はこの時、トライをあげたWTBの選手がまるで勝ったかのように涙
していて、解説の野上氏(あの野上氏です、ハイ)が「まだ(勝利の涙には)
早いです」と突っ込んでおられましたが(笑)、私としては、宇野君の笑顔
とは言えない位の微かな表情に、「成章、勝つぞ」の感を持ちました。
 もちろんリードしたとは言えごく僅差だからまだまだ何が起こるかわから
ない状況ではあったけれど、どうしたことか仰星に焦りがあらわれミスが連
続。天秤を再び自分達のほうに揺り戻す事はできなかった。
 仰星のプレーぶりを振り返れば、セットプレーでの優位をもっと活かして、
もっと圧倒する勢いで攻めるべきだった、それが出来ていれば勝てた試合だっ
たと思う。負けるわけにはいかない、から、確実にプレーをしよう、という
気持ちが無意識に自分達を小さくまとめてしまったのか。前半早い段階で得
点でき、優位に折り返せた。その事で、仰星側に、僅かな‥気の緩みでは決
してないけれど‥「必死さの欠如」とでもいうのか、容赦なく押しまくる姿
勢がなくなったような気がする。完全に力を出し切ったのなら負けもやむな
しだけど、この点に関して恐らく仰星には悔いの残る連敗(花園初戦第三グ
ラウンドでの)。だけどこれも試練。実力通りやれば大丈夫なんて思ったら
絶対ダメだ、と、身にしみて痛感した事だろう。これを糧に頑張れ(なんて
「ライバル校」に向かって暢気に言っていいのか‥という気もするが、いや
しかし、ライバルのレベルアップ、大阪勢のレベルアップは、我が愛する常
翔学園にも必ずやプラスになると信じているので。野上氏お許したまえ)。
 掲示板に「全国15都府県18試合の予選決勝を見た私が断言します、京都成
章強いです!」とかって豪語してたので、とりあえず面目躍如で良かった(
しかし、この後「失礼しました」が続くのであった‥)。

 御所対日向。
ラグビーマガジン付録の選手名鑑に『必見』とまで書かれたあの御所がいよ
いよベールを脱ぐ、はずだったのだけど、ちょっと肩すかし。失うもののな
い日向に対し、自分達のポジションを定めきれなかったというところか。
うーん。怜悧なほどの隙の無さを感じていたチームなのだが、意外な穴?
相手がどうあれ、常に自分達が挑戦者、というより暗殺者、絶対あいつら(
=相手チーム)の喉笛を噛み切ってやる(あくまでたとえです、引かないで
下さい)の必殺意識でないと、やっぱ(個々の力にものを言わせるタイプの
チームじゃないもん)御所は力が出ないでしょ。

 流経柏対報徳。
今年の流経柏には昨年ほどの力強さを感じない、と発言していましたが前言
撤回せねば(失礼しました)。昨年との比較はともかく、十分力強かったで
す。報徳は、まともなラグビーをしすぎてた気がします。力が上の相手に対
してそれじゃあ、相手が余程気を抜いてない限り勝機がない。もっと思い
きってぶっ飛んで欲しかったな。

 常翔啓光対札幌山の手。
御所のモタツキには肩すかしだが、啓光の“苦戦”にはTVの前で「おいおい
おい‥」と思わず声が(笑)。あれだけの実力があって尚、初戦っていうの
は自分達の戦い方を出す事が難しいものなのだなあ。それを思うと、どっち
が勝ってもおかしくないような強敵と初戦でいきなり当たった仙台育英や仰
星なんかは、つくづく不運ですよね。

 仙台育英対秋田中央。
7対8。来年は仙台育英のシードをはずしてあげてほしい、シードにするなら
もう少し楽な相手とあててあげて!などと、つい思ってしまう。昨年に続き、
本来シード校の力を持つノーシード校と初戦で当たるというディスアドバン
テージ、気の毒です。秋田中央は、長崎北に勝ったんだから仙台育英にも
勝ってもらわないと、という期待に応えてくれました。

 久我山対深谷。
再び「失礼しました」と言うべきなんでしょう、久我山も意外に力強かっ
た(でも「まだまだ」でもある)。

 大阪桐蔭対萩商工。
深谷の久我山食いを期待していたのにあえなく撃退されたので、「次の矢」
は大阪桐蔭なのだが、こちらも、こんなんじゃ「まだまだ」と言いたくなる
内容。まあ、相手と地力の差があると、どうしてもピリッとしたゲームをす
るのが難しい面もあるけれど。萩商工は善戦だと思う。
 とりあえず今日はこんなところ(一日で見られる試合にはやはり限度
が‥)。今回、方針変更して家でTV観戦を決め込む事にしたので、限度一杯
せっせと見て書いていこうと思っています。管理人さんも年末年始ゆっくり
お休みされたいでしょうからアップはまとめてだろうけど、その都度書いて
おかないと感想/記憶が抜けちゃうので(トシですから)勝手に書いてま
す(笑)。次は1月1日の予定です。新春にふさわしい好ゲームを期待して(
きっと私の初夢は楕円球) ‥。

                        
                           2008/12/30 佳
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