No.120 大学選手権一回戦
年末ギリギリまで仕事が残りそうだとの切羽詰まった予測から、前回
で一応“筆納め”としておいたのですが、生産工場の担当さんが頑張っ
て下さったお陰で思ったより早く商品が上がってきそうで、途端に余裕
の心持ちになってきました(笑)。というわけで、大学選手権一回戦レ
ヴュー、いってみましょう。
法政v流経 立命v早稲田 天理v摂南 関学v同志社 帝京v関東学院
筑波v東海 慶応v福岡、明治v拓殖。この内、どちらが勝つかの予想が容
易、と思われたのが、法v流、立v早、筑v東、慶v福。
しかし、筑波v東海は、最後、大接戦となりました。少なくともこの試
合について言えば筑波が勝っていても全然おかしくない内容(彦坂ツイン
ズ大活躍)。うーっ、惜しかった‥。今後の筑波は、「筑波v東海? そ
りゃ東海でしょ」などと“容易”には判断できないな、という評価が確立
されそう。
慶応v福岡も、点差こそ開いていますが、とりわけ後半の福岡大学の躍
動ぶりは、ラインアウトから一気のモールトライ(見事の一言)といい、
井上君のかっこ良さ(←笑)といい、「福大の試合って見た事なかったけ
どこんなことならちゃんと見とけば良かった」と思ってしまいました。
法政v流経と立命v早稲田に関しては、予想通り、というところかな(
立v早は見てませんが)。
そして、あとの4試合はどっちが勝つと言い切れない顔合わせでしたが、
中でも、(片方がここより先に進めないというのが)本当にもったいな
かったのが、帝京v関東学院。
昨年、いきなり早稲田と対して早々と散ったカントー(No.79)は、今
年も又一回戦で姿を消す事になった。けれど、去年のゲーム(或はチーム)
が、正に「散ってしまった」痛々しさを漂わせていたのに比べ、今年の
ゲーム(チーム)は、蕾のふくらみ、というか、芽ぶき、というか、大
きな花を咲かせるには至らなかったけれどチームとしては根づいたので
は、という強さが見られたように感じた。パワーやタレントで有利にたっ
ているとは思えない中で、リーグ戦の時にも書いていたように(No.113
『‥ギリギリの、研ぎすまされた向き合い方/カントーなんか、負けは
したけどその点は凄く良い。‥』)、ひたむきさ(って言葉をカントーに
使うとは、一昔前なら思ってもみなかったけど)というのか、欲や色気
を出さずひたすらこの一戦に力を尽くそうとしているのがわかる。
だから、結果は残念(いや、帝京が勝ったのがいけないわけではない)
ですが、試合後の監督さん達のリアクションには納得。ああいうゲーム
をしてくれたら、笑顔と拍手で迎えてあげるほかないもの。あそこがあ
あだった、こうだった、っていう部分も当然あるけれど、そういう事
は、選手達自身が、言われなくても痛感しているだろうから、辛口おば
さんの私がスタッフだったとしてもきっと「ナイスゲーム!」「ナイス
プレー!」と背中を叩いて(頭を撫でて)あげただろう。
安藤キャプテンのトライ。勝った帝京のトライよりもずっと印象に
残ってる。
明治v拓殖。
この試合の前、息子さんが拓大にいるかたから「強い明治になれば難し
いでしょうが、決定力のない明治になれば面白いゲームになるでしょ
う」とのメールをいただき苦笑しました。私自身の事前予想も全く同じ
(=締まった試合ができれば明治が勝つはずだけれど、どうなるかわか
らんぞ)。普通、試合の予測は「互いの出来次第」となるはずだけど、
明治の試合に関しては「明治の出来次第」になってしまうんですよねえ
(笑う‥べきだろうか)。
実際(TVですが)の試合は、明治のほうが力は一回り上、なのははっき
りしているように見えたのに、点数は(案の定)僅差。明治が点がとれな
いのは、いきあたりばったりの攻撃のせい。多分、「行ける」という感覚
があって無理矢理行ってしまっているだけで、きちんとしたゲームの組立
が出来とらん。
普段、“決めごと”に沿ったプレーよりは、がむしゃらさのほうに共
感するのだけれど、明治に関しては、何か、相手によって戦い方が変
わっちゃう、のがどーにもイヤで(私が「イヤ」とか「それでいい」と
か言っても関係ないとは言え)、見る度に「‥意思統一してほしい‥」
と思ってしまう。
これが明治じゃー、の「意識の共有」と言うほうが正しいのだろうけれ
ど、自然な意識の共有が難しければ、せめて試合の前に意思統一を、そ
れが無理なら、せめて、まず、ゲームプランをしっかり持て、と。
型がないチームというのはやっぱり本当に強くはなれないと思うんで
す。型、というのは、もちろん、ただの外側の形ではなくて内側の芯の
事なのだけれど、それは外野からあーだこーだ言って作れるもんじゃな
いだろうから、「せめて、まず」皆で気持ちを一つにして、見据える方
向を定めて、目的と目標を明確にして、それに全力を注いでほしい‥。
明治がすっきり「これで行く!」と決めてそれを迷い無くやり遂げたら
強いはずと思うんだけど、残念ながら、今季まだ、“すっきり
と”、“迷い無く”、“全力でやり遂げる”、というようなシーン、見
せてもらえていません。
終盤、サインプレー一発でトライをとったシーン、あれは鮮やかでし
たが。「‥おお。ちゃんと、プランした通りに出来るんやん‥」(ゲー
ムプランというのとはちょっと違うけど)。
天理v摂南は、摂南もアタック面はかなり良かったように思う
のですが、天理のほうがアタックに加えディフェンス面でも良かった事
で、結果的にかなりの点差がついた。実は昨年度も同じ顔合わせの一回
戦で、この時は摂南が勝利して東海と対戦した(イオンギ君が、負け試
合にもかかわらずめちゃくちゃ目立っていたのを覚えてます)のです
が、今年は、勝った天理がやはり東海とあたる。‥結構面白そう。
(関学v同志社は見てません)
以上、一回戦の感想をザーッと記してみました。
チームとして見ると、東海と帝京は、良くも悪くもあまり大学生らし
くないチーム、という印象。
慶応は、大学生らしいチーム。ただ、既に目一杯の力を出しているの
ではという気もするので、ここからの「伸びしろ」がどうなのか。
カントーも、今年は特に「大学生らしい」チームだった。「見たら応
援したくなる」ような(これも、一昔前には考えられなかったセリフだ
な)。
法政、こちらは「見たら魅せられる」ラグビーをしてくれる(これは
前から結構言ってますね)チーム。
明治は、慶応と対照的に、まだまだもっとやれるやろ、という感じは
するが‥「感じ」だけで終わってしまうのだろうか(;_;)。
早稲田は、東海、帝京、慶応、法政なんかと比べて、強いとも特に上
手いとも思わないのに、とにかく「簡単に負けない」、そこはすごい。
何なんやろ、あれは。うーん、勝ち癖がついているというより、負け癖
がついていない?
ま、法政と慶応が二回戦であたるのは「惜しい」のだけれど、早稲田
と帝京が二回戦であたるというのは無責任に「面白い」と言ってしまえ
ます。楽しみだー。
休日返上で追い込みか?と覚悟していたのに、この週末もゆっくり
TV観戦できそうだし、30日に花園に行けるメドもたった(ような気がす
る)し、わーい、嬉しい。おまけに、今日は、お願いしてあったABsの
end of yearのDVDも届き、何よりのプレゼント ‥というわけでささや
かな幸せに浸っている私です。
皆さんも素敵なクリスマスを過ごされていますように。
2009/12/24 佳
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