No.134 ITM Cup初観戦とTri Nations最終戦
毎週忘れ続けてきたITM Cupですが、さすがにこの週末(昨日)はちゃん
と覚えてました(いや、金曜なら危なかったな、土曜だったおかげです)。
しかし、Hawke’s Bay vs Waikato戦は、選手入場あたりまでは良かっ
たのに、肝腎の試合が始まったら調子が悪くなり(PC)、殆ど見られなかっ
た。まともに映ったのはラスト20分くらい。なので、感想の書きようもあ
りませんが、一言いうなら「Hawke’s Bay どうした?」
去年はSky TVのサイトで、ほんの数分のハイライト映像ですが毎週楽し
みに見て、Zac Guildfordがノリノリなだけじゃなくチーム自体にもすご
く勢いがあり毎週ワクワクしていたのに、今年は残念な事に何故かハイラ
イト映像がPCで見られず、昨日が初めての観戦でしたが‥。リズムもスピー
ド感もなく、まだ1勝と低迷しているのも無理もない、と悲しいかな納得し
てしまう出来でした。あれじゃ勝てないわ。勝てていないから余計リズム
が出てこないんだろうけど。
まともに映り出した時点で、何だか「今日もこのまま負けかなあ」といっ
た気配が濃厚でしたが、その後逆転圏内に入った途端、ちょっと動きが良く
なって来たりして‥今日も負けそうと思っちゃうと力が出せず、いけそう
と思うと動きが良くなるなんて、まるで小学生の試合みたいなんですけど。
とりあえず、(実年齢は知りませんが17歳くらいにしか見えない)14番の
土壇場のPGで何とか引き分けとし、かろうじて負けは免れましたが、あの
感じだと、次週以降、余程心機一転!とならない限り、Hawke’s Bayの浮
上は厳しそうです。FWも力不足、BKも覇気が無い、Zacも冴えない。彼を擁
護する立場で言えば、Zacを活かせる形が出来てないって事だけど。
やっぱIsrael Daggに居てほしい‥。というか、ちょっと前までは、Zacを
ABsに呼んでコンビで活躍してもらわなきゃっ、と思っていたんですが‥今
やかすかな希望という感じ(;_;)。Daggがいないから、なんて言い訳に
出来ない事くらいはわかってるはずなのに、おとなしすぎるぞ、Zac。うー
ん、うぬぬー‥(って私が唸っててもどうしようもないんですが)。
来月には、セブンスのメンバーとしてインドでの『コモンウェルスゲーム
ズ』(英連邦の国地域によるオリンピックのようなもの)に出場するそう
ですので、この機会にTietjensさん(NZ7人制の名コーチ)にしっかり鍛
えてもらって、end of year tourでAll Black に復帰してくれると嬉しい
けど。
さて、続いてのNorthland vs Canterbury戦は、時折しばらく映像が止
してしまう事もありましたがその間も音声は入っていたし一応ちゃんと見
られました。
注目は何と言ってもSBWでしたが‥。
私は再三話題にしてきた通り彼のABsでの活躍を非常に期待しているのです
が、来年のW杯という意味では、これで間に合うのかなあ、という気がして
きました。いや、Northland戦でのパフォーマンスが悪かったわけではなく、
ボールを持ったらゲイン出来るし何より相手を引きつけておいてオフロー
ドが出来るし、何やかやポテンシャルはもの凄く高いのですが、どこかしっ
くりこない、もしくは、浮いて見えます。
ITM Cupにまだ2試合しか出場していないのにすっかりSBWの代名詞のように
なったオフロードについても、オフロードパスの技術の高さ、というより
も“余裕”というものを感じる−例えばスクールで大人が小学生の相手に
なって試合形式で練習する時なんか、苦もなくオフロード出来ちゃうじゃ
ないですか−ので、逆に、全く余裕のない、追い込まれた心境や状況でプ
レーしているSBWを、とにかくまず一度見てみたい、という気がする。今の
ところ余裕ありすぎで、却って疑心暗鬼になってしまいます(笑)。
SpringboksやらWallabies相手でも変わらず余裕のあるプレーが出来るの
ならそれはそれでいいかもしれないけど、問題は、それを一体いつ見極め
られるのか、ってこと。
彼の潜在能力をフルに活かせるとして、例えばBoks相手に2、3人引き受
けておいてオフロードでスイスイとボールが出せるんなら、ABsのアタック
が今以上に“流れるように”、“止まらない”ものになるかもしれない‥
その誘惑は大きいけれど、果たして、そう上手くいくのか、上手くいくよ
うにするために、W杯目前に、突貫工事のように彼をABsに適応させる或は
ABsの他のメンバーを彼のプレーに適応させる、そういう事が本当に必要不
可欠なのかどうか。ABsがどん底で喘いでいるんだったら、えいやっ、と
改革/荒療治で良かったでしょうが、このTri Nationsが良かっただけに、
どうなのかな、という気にさせられます。
まあ、ともかく、end of year tourと来年のSuper 15を見て、という事に
なりますが。
試合は開始早々SBWからのオフロードを受けたFruean(キレキレだー)が
鮮やかな先制トライを挙げ、一方的になるのかと思いきや、Northlandが頑
張って‥。Northland、全く知識はありませんが、少なくともBKのアタック、
ちゃんとラインに走り込んで入って来てゲインをきってるもん、それだけで
もHawke’s Bayより断然良かったです。
有名選手がいっぱいのCanterburyに、殆ど知らない選手ばかり(NZでは有
名かも)のチームがしっかり渡り合ってたら、そっちを応援しないわけに
いかないでしょ(笑)! ‥というわけで(Canterbury協会員のくせして)
途中からにわかNorthlandサポーターと化して見ていましたが、惜しくも負
けてしまいました。もったいなかったなあ。勝てたゲームだったのに。
言い換えれば、ちょっと後手後手になってうまくいっていない試合でも、
終わってみれば勝ちをものにしているのが、常勝チームだって事なんだろうな。
昨日はもう一つ観戦しましたが、3つめの試合は、もちろんTri Nations
の最終戦。
第九戦 Wallabies vs All Blacks 11 September, Sydney 22対23
All Blacksは、DCがお休み。Crudenが先発、他にも若手を数人起用のラ
インアップ。
決して、相手に対して失礼なメンバー編成というわけではないけれど、
ただ、Weepuがゴールキックを狙う段で、Crudenもレギュラーになりたいん
だったらやっぱキッカーとしてもっと精進しなきゃ、と思いました。別に
SOがゴールキッカーで無くてはいけないというわけではないですが、DCが
いない時に、代わりの#10が蹴れないっていうのは、何となく情けないよう
な心もとないような。
しかし、Weepuのゴールキックは正確で、結果においてゴールキックの成否
が勝敗に影響したので、もちろん昨日の試合でWeepuがキッカーをつとめた
事について意義をとなえているのではありません。
Wallabiesはギタウのキックの確率が悪くて、せっかくABsを圧倒していた
のに、2チャンスで逆転不可の点差(14点差以上)にひろげられなかったの
が響いてしまいました。
ところで、前回、「今年のTri Nationsはトライが多い」「DFを上回る
アタック‥」と書きましたが、トライが多いのは、ルールが変わった影響
が大きいらしいです。あんなにDFが激しいのに、よくまあボールが次々と
リサイクルされてつながるよなあーと感心していたのですが、原則として
攻撃側に有利になったって事みたい。言われてみれば、はあ、そうだった
のか、とも思いましたが、でもやっぱり、アタック力の凄さは感じます。
今大会のさまざまなアタックシーンで、<名場面集>があっという間に作
れそう。
昨日の試合では、Daggはさすがにアタックセンスではちょっと異彩を放っ
ていたものの、全般にはABsがセカンドギアくらいでのパワー走行で、功は
奏してもなめらかさには欠けていたのに対し、Wallabiesのほうはトップギ
アという印象で鮮やかでした。すごくかっこ良かったので、「行けーっ!」
とかってTVの前で盛り上がっていたのに。一体どうして逆転されちゃった
のかよくわかりません(←この一文、ホントにABsファンが書いたものだろ
うか‥)。
南アでの連戦を終えて、休み無しでの試合だったのが影響したのかなあ。
ゲニアもいつもの切れがなかった気がするし、クーパーなんて、(普段の
ワークレートは余り良くわかりませんが)後半バテバテで、仕事量として
は低かったと思うので早く代えたほうが良かったのでは。出血で一旦引っ
込んで、完全に交替だと思っていたのに、再登場した時は驚いた。それだ
け買われている(評価されている/頼りにされている)という事なのでしょ
うが。
でも、9/10以外のBK5人は最後までよく動いてましたけどねえ。直接関係
ないですが、終了間際、自陣深くにPKを蹴られた際に、(O’Connor君と)
ビールが何とかボールを生かそうとしていたところとか、けなげな位で(←
けっこうこういうのに弱い)、「Wallabies勝てー!」だったのですが(←
再び‥)
Elsomも最後は少しスタミナ切れという感じもあったけど、頑張ってました。
前回、主将としてはイマイチ‥とけなしてしまいましたが、プレーは随分
安定してきましたね(前は悪く言えば力任せの突破というイメージがあっ
たけど、いい働きしてます)。
ところで、試合序盤にRichieがペナルティをとられた時に、Richieが
ペナルティをとられたのはこの何年間かで初めて、と、副音声の解説者が
冗談を言ってましたが、そういう冗談が出るほど、犯則をしない、という
より同じような事をしていてもRichieだと見逃される、という話もあるく
らい(笑)レフリーとうまくやっているRichieですが、しかしこの日はそ
のあと何回か続けてペナルティをとられ、普段、不満気な顔など殆ど見せ
ないRichieが珍しくちょっとフラストレーションを感じさせていました(
が、後半はまたもや大逆転の口火を切るトライをあげるなど、もう止まり
ません、の活躍ぶり)。
この日のレフリングはどうなんでしょうか。観戦者からすると、カード
も出さないしあまりプレーも止めないから良かったとも言えるけど、70分
頃にABsが逆転する直前の場面でのあの長いアドバンテージは、どうだった
のかな。理屈からすると、アドバンテージにならなかったのだからそこに
戻る、で問題はないのですが、通常のゲームならKainoがサイドをついた
プレーの時点で解消されたのでは、と思います。そこで解消してほしいと
いうより、もし、ゴール前でのアドバンテージをあれだけ長く見てくれる
というなら、いつもそのようにちゃんと見てほしい、と思う。トライにな
りそうな時に反則されて、アドバンテージを見てもらっていてもいつの間
にか解消されて、チャンスがつぶれるシーンって、結構多いので。
話が逸れましたが、まあ、そんなこんなで何となく運も味方につけての
ABsが1点差で勝利。
Tri Nationsの完全優勝と、対Wallabies10連勝の記録とを手に入れるとい
う、昨日の実際の出来の割には<出来過ぎ>と思える結果。
それにしても、「負ける気がしない」気配というのは馬鹿にできないも
のですね。その気配を持っているチームというのは、心を決めかねている
勝利の女神を強引に自分達のほうへ呼び寄せてしまうんだ。
今年のTri Nationsは、戦法、方針、意識、トレーニングなど全ての面で
準備万端整えて、それに基づき信念と覚悟をもって初戦に臨んだABsが、
そこで一気に自信を確かなものにして「負けない」気配を生んだ、そうい
う大会だったと思う。
W杯に向けて、1年早くピークが来ちゃったのでは、と心配する声もある
けれど、チームの姿勢がぶれない限り(多分ぶれないと思う)、同じよう
に完璧に近い準備が出来るのではないか、と、今迄のW杯前よりは何だか信
頼できる気がします。これ迄のW杯に比べて予選プールに強敵がいるのも好
材料だと思う。
1年後、予選プールで波にのって、トーナメントを「負けない」気配で走
り抜き、今度こそ決勝で勝利の女神を引き寄せてくれる事を信じましょう。
←「ほら、やっぱり私はABsファンでしょ」ということで‥(笑)。
2010/09/12 佳
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