No.143 脱線その1:警戒区域内の動物について

ご承知下さっている通り、このノートはあくまで個人の見解、いや見解なん
てものですらなく、その時その時に感じた事を心覚えの如く書き留めたもの
に過ぎず、スクールを代表した意見などではありません。
今回書く内容も当然私個人の思いです。何故ことさら断りを述べるかと言え
ば、今日これから書くのは、「明治のどこがいいのかわからん」「早稲田だ
けは許せない」「何それ、ふんっ?!」みたいな、どっちに転んでも最後に
は笑い飛ばせるような話・・ではないからです。
ずっとそうであったように、読んで下さる皆さんに私の感じ方考え方を押し
つけようなどとは思っていません。
ただ、自分は大概のケースに於いて少数派の側に属する人間のようでいつの
間にかそれが当たり前になっていたから、これ迄、声高に自分の主張を聞い
て貰おうと思ったことなどなかったけど、でも今(押しつけるわけでも何で
もないけど)、とにかく聞いて欲しい、と思う。
ラグビーからはかなり脱線しますがお許し下さい。

丁度前回ノートを書いた直後頃から、それまでひたすら「安全だ、安全だ」
を繰り返しているだけだった地上波TVがようやく少しは事態の深刻さを伝え
るようになって来たのを感じて、これで報道のあり方も変わって来るのかな
と若干期待したのだけれど、結論から言うとそんな事はなく、ただどうにも
隠しきれないために情報が小出しにされるようになってきた、というだけの
よう。

報道のあり方、についていえば私は今更ながらモーレツに腹をたてている。
J Sportsが「ラグビーチャンネル」といううたい文句で加入させながらお粗
末&姑息な放映しかしていないことなんてこの際どうでもいいわ(と言いつ
つかなり怒ってるけど←笑)。国営放送たるNHKと大手全国紙に対してはそん
などころの怒りではない。
理由の一つは、前回も書いたけれど、原発関連報道に余りにも御用学者ばか
り登場させる或いはそうした側からのことしか述べない、臭いものに―真実
に―蓋、のやり口。
最初の内、関村東大教授(「原子力ムラ」の住人には東大教授がやたらと多
い)はじめとする御用学者達が放射能の値についてやたらレントゲンと比較
しながら「如何に心配ないか」とせっせと喋る姿に向かってTVの前で猛抗議
していたものだけれど、前述の通り、公式発表にすら様々な危惧についての
言及がなされるようになって以降でも、相変わらずそうした医療被爆と同列
に語る報道があきれるほど多い。
中でも、4月半ば、母乳から放射性セシウム検出、の報道で松本東工大准教
授が「放射性物質というのは私達の体内にも存在しているんですよ。それに
バナナ1本にだって20ベクレル以上のカリウムが含まれています」と発言し
た(民放TV)時には怒髪天を衝いた。自然界に元々存在する放射性物質と核
分裂によって生じる放射性物質とを同等に語っていいと思ってるのか? あ
んたらこの母子達の将来にどう責任を持つっていうんだ? 思えば、この時
「絶対こいつらに与するものか、対抗してやるっ」と強く決意したのかもし
れない。ホントはその頃まで何だか絶望感というか遁世感を抱いて立ち尽く
してしまっていたのだけれど、怒りの余り(細々とではありますが)行動を
始めた。(とりあえずマスコミに対してには、NHK受信料の抗議の不払いを決
行するか新聞(ちなみに我が家は朝日である)購読もやめるかの検討段階で
しかありませんが)まずは反原発のデモに参加。あと、警戒区域内の動物達
の保護救出への陳情を繰り返し行った。

今回の震災では、被災規模の甚大さから、うかつな寄付(義援金)では必要
な支援に迅速に役立てられない恐れが予測できたので、フットワークの良い
信頼できる団体に直接送金をしてきました。同時に、これだけの被災で絶対
後回しになってしまうのは自ら声を上げられない動物達だという事もわかっ
ていたので、私としてはこの方面にかなり力を入れてきたつもりでしたが、
原発周辺の警戒区域への立ち入りが4月22日から全面的に法律で禁止される、
との決定には正直愕然とした。
そもそも避難させたのは国なのだからそこに住んでいた命は国が救済するの
が当然なのだけれど動物福祉後進国の日本では期待できず、だから民間の保
護団体の活動を精一杯サポートしてきたのに、そうした団体やそれまで避難
指示の中でも面倒を見続けてきた飼い主さん達の立ち入りすら禁じる今回の
措置は、つまり動物を救済するどころか残酷な死へと益々追いやる事であっ
て、とてもまともな近代国家のやる事とは思えない。
萎えそうな気持ちを奮い起こし、官邸、原子力保安院、経産省、東電、福島
県や市町村、自衛隊、国会議員達・・へ、この2週間、陳情メールとFAXを送
り続けています(文末に参考サイト載せます)。
情けない事に事態は好転していないけれど、一頭一匹でも多く救えるように
あきらめずに繰り返し声をあげようと思います。

こういう問題を、マスメディアは殆どとりあげてくれない。
動物虐待問題とかをTVや新聞が報道する事はたまにあって、視聴者の声が殺
到して事態が改善する場合もあるんだけれど、今回くらい大規模でそして既
に困難な状況になってしまっているケースだと、マスコミは逆に殆ど敬遠し
ているように見える。
何故か。悲惨過ぎるから。
置き去りにされ、柵から必死で首を、餌の干し草があるほうへといっぱいに
伸ばしたままの姿で息絶えている、ずらりと並んだ牛たち。閉じこめられた
まま共食いの挙げ句に死んだ猫たち。
そういう姿を喜んで見る人などいない。気が滅入るだけだから、知りたくも
ない、目を閉じて耳を塞いでいたい。だけど、本当にそれでいいのか。
TVで流されるのは明るい話題ばかり。
「少しでも力になれれば」とボランティアに参加する人々、「有り難いです
」と感謝する人々、
「力を合わせて頑張ろう」「大丈夫きっと立ち直れる」「一人じゃない」「
勇気をもらいました」、復興、再建、絆・・。
人々の善意ややる気に水をさすつもりは無いけど、<臭いものに―真実に―
蓋>の幼児性から脱却し、覚悟を持って進んで行かなくては。

今この瞬間にも餓死しつつある動物達、彼らの命を奪っているのは、地震で
も津波でもなく、放射能ですらなく、ひとえに行政の無策と自分達の事しか
大事にしない人間の身勝手、それに尽きる。
火星へ連れて行けなどという無理難題を言ってるわけじゃない。“たかが一
地域”の動物の保護や搬出すら出来ない国に、その努力の素振りさえ見せな
い国に、希望ある未来など語る資格があるのか、を憂う。

※全面立入り禁止の措置がとられて既に2週間近くたっておりもはや一刻の
猶予も残されていません。もしお時間をいただけるようでしたら、下記のサ
イト等を参考に、各関係方面へ動物救済への声を発信して下さると有り難い
です。
http://lovelight.us/animal-help.html (陳情書の提出先や文案等が載
っています)
http://freepets.jp/ (要望書の賛同者としてサインインする事ができます)
http://blog.goo.ne.jp/syoshiko79/e/522c726aab29132e0f3ff313dd7dee65 
(海外在住の方、世界からの声として日本へ要望を送って下さい)
http://www.thepetitionsite.com/26/save-animals-in-Japan-evacuation-zone/
(これも海外からの署名ですが、簡単な記入で済みます)
http://www.thepetitionsite.com/24/Make-animal-starvation-illegal-in-Japan/ (同上)
http://www.youtube.com/watch?v=ghsN-DdHWeE&feature=player_embedded 
(活動団体の一つUKC JAPANより)
http://www.youtube.com/watch?feature=player_embedded&v=7Z9cwnYdx0s 
(この中で犬達のところへフードを置いてくる場面が写っていますが、28日
からの5日間行政から「実態調査」に入った調査団が、こともあろうにそうし
たフード類を片付けて回ったという話です、衛生面の配慮とか? 信じられ
ない)
http://kamosika1.blog104.fc2.com/blog-entry-83.html (国内米軍基
地への要請文案)

                        
                           2011/05/03 佳
                           
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