No.20 Tri Nations 総括2
Tri Nationsについて長文のため2回+αでお届けします。
第六戦。
NZ対豪。NZが勝てば優勝確定の大一番、豪は当然McCawを徹底的にマークです。で、毎度の事(文字通り)とは言え、ABsのNo.7はこの日もかなり悲惨な姿になってしまいました。が、試合後はめでたくキャプテンとして堂々と表彰を受け、スピーチもこなしていました(お疲れ様)。というわけで、あと3試合すなわち大会の3分の1を残した時点でABsが早くもトロフィーをものにするという、優勝の行方だけをみればややあっけない結果となったのでした。が、やはりこのまま「はい、おしまい」では済まなかったですね。
終盤の3試合は南アが舞台。
不利なアウェーでの連戦で全敗ながらも火種を感じさせていたSpringboksが、ホームで地力を爆発させるのかどうか、タイトルを獲得してモチベーションの低下が心配されたNZに対し、南アはこのままで終われないという意地があるはずなので、期待(そんな風に思ってしまうあたり、NZ人からみたら“許されない、ファンの風上にもおけない”私です)をもって第七戦を見ました。結果はまたしてもSpringboksは勝てませんでした。
ですがかなり手応えはあったと思います。私が、もし自分がSpringboksの監督なりコーチなりだったとしたら「“対All
Blacksの戦い方”が見えた!」と自信を持っただろうな、と思ったくらいですもん。(それなのにNZ国内では相変わらず「我らがAll
Blacks、全勝まであと1勝カウントダウン」みたいなノリのようでしたが‥。それも<国民的人気>ゆえに仕方ないのか‥う〜ん‥。)
ところで、南アの選手というと(ちょっと偏見めいているかもしれませんが)ラフなプレーが多いという印象ですが、Smit主将は結構私の好きなタイプで、低い突進と低いボールへの反応が素晴らしい。地面にボールがこぼれた時に誰より早く身を挺する姿はプレーヤーの鑑です。
そのSmit主将ゆかりの地(らしき事を解説者が言ってましたが英語なのでよくわかりません)
ラステンバーグでの第八戦。
NZに「全勝で締めくくる」というモチベーションが出てきたため、南アは第七戦よりも苦戦を強いられるかもとも思いましたが、解説者が「Smitは何としても勝ちたいでしょうねえ。いや、彼に限らず誰もが何よりも勝ちを欲しています」と(いうような事を)言っていた通り、Springboksの勝利への執念/気迫がみなぎった試合でした。
ここで目をひいたのは初めて見た(出てたかもしれないけど知らなかった。でもともかくまだ5〜6キャップの若い新顔)Spies選手。世界屈指といわれるスカルク・バーガーが戦列離脱を余儀なくされている中で、FL不在、というのが南アの大きな頭痛の種のようでしたが、いきなり<スター誕生>の感さえありました。Richie
McCawのような(どちらかといえば)ディフェンス型のFLではなくて、(どちらかといえば)オフェンス型。相手の防御に斬り込んでいく時の独特の、力強い、それでいてスーッと抜けるようなキレ味の走りがすごく印象的。(ちなみに第九戦での解説者情報によると、子供の頃はNo.8だったけれどエイジレベル代表時にはなんとWTBだったそう。道理で。ついこの間まで「21歳以下代表」で、今年テストマッチデビューしたばかりみたいです。)
結局Springboksが1点差で待望の勝利をつかみ、デュプレアも見事でしたが、SpiesがMan
of the Matchに選ばれました。
最終週第九戦、Wallabiesも健闘しましたが、最後に笑ったのは、0-49のチームとはもはや別物となったSpringboksでした。この試合では、Springboks
WTB 途中出場のポールセが良かったです。彼は、数年前まではいくら足が速くてもどこか脆さの見える選手でしたが、すっかり落ち着いて余裕さえ感じられました。それから、この夏に20歳になったばかりという若さのFBが出ていて(初テスト)、いかにも「将来が楽しみ」「末(すえ)たのもしい」という感じでした。JP・ピーターセンとかいう選手です。何だか南アには急に明るい光がさしてきたような感じ。こうなると来年のW杯では一層脅威ですね。ひえ〜。
ということで、南半球テストマッチシーズンは、一昨日のTri Nations最終戦をもって閉幕、このあとは国内選手権をへて北半球へのend
of the year tour が待っていますが、明ける年はいよいよWorld Cup Yearです。
さっき、一抹の不安、と書きましたが、NZはまた挫折を味わう事になってしまうのでしょうか。前回だって、Tri
Nations優勝をひっさげて臨んだ結果があれだったのだから‥。一体どうなるんでしょう。冷静に考えたらやはり大本命はNZだとは思う。でもいくら11勝1敗なんていう抜群の強さでも、その1敗をW杯で喫してしまうのではNZは救われない。そのプレッシャーに打ち克って今度こそW杯の場で優勝して文句なしの「世界一」になるには、All
Blacksのプライドをかなぐり捨てて“なりふり構わない”“死に物狂い”の闘いをしなくてはいけない時が必ず来る、そういう試合が必ずあるはず‥、私にとっても「Richie
McCawがエリス杯をかかげる」のは4年越しの夢になるわけなので是非かなえてもらいたい、そのために、優等生のプレーではなく、鬼気迫るラグ
ビーをしてほしい!! ‥そうしみじみ感じたTri Nationsでした。
06/9/11 佳
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