No.21 Tri Nations こぼれ話
Tri Nationsについて長文のため2回+αでお届けします。
Sつい3日前に長過ぎる文章を書いたばかりですが、こぼれ話が色々あるので<おまけ>です。
◎ まずは新情報から◎
来年のW杯後だそうですが、マット・ロジャースがリーグへ戻るらしい。リーグ出身3大スター(他はセイラー、トゥキリ)の中で一番ユニオン向きだと思ってたし、何より彼のプレーは好きだったのですが。ユニオンの海外遠征の多さに疲れたとか。元リーグ代表のお父さんが今年始めに亡くなり、一時はプレーもできない程打ちひしがれていて(先にお母さんも亡くしている)、家族(美人の奥さんとかわいい子供あり)と一緒の場所で暮らしたい、とつくづく思ったみたい。W杯で「惜しい!」と言わせる活躍を期待します。‥でも最後に勝つのはAll
Blacksよ!(笑)
◎1敗◎
Tri Nationsを勝利で締めくくれなかったABs。連勝記録も途切れる事となったこの敗戦に関して、No.8のソーイアロがNZメディアから戦犯扱いされてました。そりゃまあ確かに直接の敗因は彼でしたけど、たまたまうまくいかない日だっただけの事、と私なんかは思うのに、随分な責められ方でした。次の試合で挽回、が可能なら良かったのに、テストシリーズの最終戦だった(end
of year tour は残していますが)ものだから辛いですよね。‥頑張って、ソーイアロ。
◎スクラム◎
強かった。ABsのHPでスクラム練習の映像を見た事がありますが、面白いですよ〜(尤も私が知らないだけで他チームもああいう練習をしてるのかもしれないけど)。All
Blacksのスクラムは、8人の背中がピシーッとまっすぐになっていて美しい。理にかなった姿は美しくイコール強いのだ、という事を教えてくれます。
◎ラインアウト◎
不調。不調が不思議というより、何故修正できないのかが素朴な疑問。誰がスロワーをやってもダメ、という事は、レシーヴァーのせいなのでしょうか、いやいや、そんな単純な問題ではないんでしょうね。LOの顔ぶれは贅沢なくらい凄いのに、ホント、一体何でなんだろ。まあ、「原因」とは関係ないかもしれませんが、果敢にボールを獲りに行っている或は積極的にせっている感じが「しなかった」との印象はありました。ラックとかでのボール争奪戦は激しいのに、ラインアウトは、不調ゆえ消極的になり、消極的ゆえ調子が出ない‥の悪循環だという気がする。
◎温存◎
来年度Super14前半戦への、22選手(ABs)の出場制限が正式に発表されました。もちろんW杯に備えて休ませるため、です。‥気持ちはわかる。Richie
McCawなんて、「いつケガするか‥」「良かった、今日も何とか無事だった‥」と毎試合ヒヤヒヤさせられますもん。彼がいなければ大大大打撃ですし。あとD.Cとかね、お願いだからとにかく万全にW杯を迎えてくれ〜っと拝んでしまう人(笑)っていうのは確かにあります。それにしても22人は多すぎだよなぁ、顔ぶれも、へぇ〜(私見)だし。折角、誰が出ても遜色ないよう層を厚くするという目的を掲げ、去年から一部でABsジャージの安売りという批判さえ出る程の多くのメンバーをセレクトして“ローテーション制”でテストマッチに出してきたのに、どうもその姿勢とはしっくりきません。まあ、NZでは「W杯で勝つためなら」仕方あるまい、といった空気のようですから、国民でもない私がどうのこうの口出す事じゃないんですが、まるでかよわい存在を保護するような扱い方だなと感じてしまうのは否めません。個々の選手のケガや調子の良し悪しは当然大きな要素ですが、それでも、<the
All Blacks>というチームは、そうした事を超えてデンッとでっかく強く確固たる存在であるはずではないのか、あるべきではないのか、と思うのです。‥なのに何だかひ弱そうで心もとなげじゃないか‥、と。もっと自信をもって強気で、心の底では(コイツやアイツがケガしたらヤバいよな〜)と思っていたとしても微塵もみせず「誰が出場したって天下のAll
Blacksやで。負けるかいな」と豪語する勢いで臨んでほしいです。
◎HAKA◎
今シーズンもハカをめぐってさまざまな話題がありました。一つは、豪が作った「ハンドバッグ・ハカ」。これには多分説明が必要ですね。まずABs某選手の「ハンドバッグ事件」というのがありました。某日、某選手がバーで酔っぱらって暴れ出した際、一緒にいたチームメイトのUmagaが咄嗟に、そばにいたバーの客の女性のハンドバッグで彼の頭を殴ってとめた。まあ、関係者に謝罪して何とかおさめられる程度のちょっとした騒ぎだったのですが、ハンドバッグをとりあげられて(しかも某選手の石頭で壊されて)しまったこの女性が、壊れたバッグをネットオークションに出品した事で注目が集まり、ハンドバッグには結構な高値がついた、というものです。一時かなり話題になったこの「ハンドバッグ事件」をタネに、ABsが皆カラフルな女物のバッグを肩から下げて「Ka
Mate, ka mate!」とやっている、という、思わず口をあんぐりあけてしまう映像(もちろん合成)を豪協会が作っちゃった(日本ではあまりやらないですが、海外では選挙時などによくある、相手陣営を皮肉るキャンペーンCM)というわけです。
これ以外にもWallabiesは、テストマッチでABsのハカの後、(普通はすぐにキックオフとなるところ)おもむろにタックルダミーを持ち出してウォームアップを始めたり、とか、あの手この手の、NZを立腹させる“ハカに敬意を払わない”行動に出てました。まあ、キックオフ直前に、相手チームが当然の権利としてハカをして士気を高めるのを、自分たちはただ受け身で眺めるだけだなんて納得できない、というのはわからなくもないです。ABsには確かにアドバンテージでしょうから。でも、私なんかは、ハカはラグビーにとっても素晴らしい文化の一つであり伝統だと思っているので、もちろんなくなってほしくないし、これはWallabiesにもあんまり悪あがきせず認めてもらいたいと願っています。
ちなみに、南アのSmit主将は、ハカを揶揄したり「お前達だけそんなパフォーマンスが認められてズルいよな〜」と不平を言ったりせず、代わりに何と言ったかというと「ハカが目の前で演じられるというのは特権だ」と‥。ハカに敬意を表し、そのハカが自分達に向けられているものだという事に誇りを持ち、特等席でハカが見られるんだから“役得”だ、と前向きに捉える‥さすがSmitさん!!と思いました。
ところで、一昔前のAll Blacksのビデオのハカが失礼ながら“お遊戯”に感じられてしまう(当時は「すごーい」と言って見ていたのだけど)ほど、現在のチームのHAKAは迫力があります。Kapa
O Pango(去年のTri Nationsで初披露された“オリジナル・ハカ”)の、最後にある“喉をかききる”動作に批判反論賛否両論(曰く:人殺しの真似を公然と行なうのは如何なものか、 曰く:相手を殺すという意味ではなく、命をかけたところで戦うのだという精神的なゼスチャーである、等々)が大沸騰したのも、All
Blacksの迫真のパフォーマンスゆえでしょう(一応、喉元ではなくもう少し下に手をさげる、という事で決着したようでした)。
ともかく、これだけの気迫をこめられるのだから、絶対彼らが“ひ弱で心もとない”なんて事はありえないと信じて、W杯ではNZを応援したいと思います
06/9/14 佳
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