No.24 「これでいいのか、日本ラグビー」その1
来年はいよいよW杯。日本が世界と闘う時のイメージとして私が頭で描
くスタイルと一番合っていると思ったのは大西鐵之助さんの理論です。
アンチWのため、高名な大西さんの著書等を読んだ事がなかったのですが、
「ひつじ屋」さん(ローカル名登場!)で藤島大さんの『知と熱―日本ラグ
ビーの変革者・大西鐵之祐』の中古本を購入して読んで「これじゃん!」と
膝を打ちました。「お〜、こんな昔にこういう事してた人がいたんだ〜」と
興奮。けれど段々「‥今の日本ラグビーは一昔前より全くダメになったって
事だよな‥」と意気消沈してしまいもしました。
11年W杯日本開催に強く「反対」していた非国民の私ですが、その昔は、こ
れでも、一日本人ラグビーファンとして自国の代表を応援しようと思ってい
て、サポータークラブ創設時にはすぐさま入会しましたし(その後の脱会顛
末は以前書きました)、学生時代にうちに遊びに来てくれた事のある某選手
がジャパンに選ばれた時には、(ごく控えめな)プラカードを持って、顔に
桜のシールを貼付けて(笑)、声援を送りに行った事もあります。でも、過
去何度か書いてきたように、ジャパンにはどうにも不満が募るばかりでした。
ジャパンが強い弱いという以前に、代表チームのあり方やこの国のラグビー
界/日本協会に、納得できなかったのです。例のエリサルド事件でも、氏へ
の立腹より、ああいう人をヘッドコーチに起用した事自体に呆れていたので、
そらみたことかという気持ちでした。正確に言うと、その少し前からもう殆
どジャパンへの期待や関心を失っていたので、どうでもいいという感じでし
た。
John Kirwan(以下JK)就任にも、「彼なら日本にいた事もあるしイタリア
での監督の実績もあるし(前任者よりは)マシだろう」程度の感想のみ。
ジャパンを見たい、という気持ちは残念ながらすっかりなくなっていました。
という訳で、実は私はJKが関わってからのジャパンの試合を全然見ていな
いのです。が、漏れ聞くところによれば、彼が率いるようになってまだ日が
浅いのにジャパンはすごく変わってきている、とか。見ていないので、実際
にはジャパンが急に変わったわけでも何でもなくて単に雰囲気が良くなった
だけの事だろうなあ、と憶測しているのです
が、もし本当に変わってきているのだったら歓迎すべき事です。少なくとも
JKの発言(『ラグビーマガジン』より)は悪くない。
「(試合開始直後)ジャパンは何が起こるかを待つ姿勢だった。自分たちの
プレーを先にやろうとすべきなのに」「(来日時の体験)速く前に出るディ
フェンスと低いタックルに苦労した。自分が嫌だった、それをやってくれ」
「ディフェンスは、どうやって守りたいか理解が固まってくれば変わる」
「ワン・オン・ワンのタックルでいちばん大切なのはハート」「W杯に参加
する中で、ここからの伸び率がいちばん大きいチームにする」「勝つために
は、自分たちの強味を最大限活かして戦うことだ。それには相手は関係ない。
日本人にあった、日本のラグビーをやる。それができた先に、どう勝つかが
ある」「速さと低さ。そこにこだわりたい。ディフェンスで、世界でいちば
ん速いラインスピードを持つ。世界のどこより低いラックで他の国々に勝つ。
世界でいちばん低いスクラムを組む。ラインアウトでは、世界のどこより速
く判断し、動く」‥‥‥
ふんふん、ジャパンの指導者はそうこなくっちゃね、と思えます。
しかし、目指す“速く低い”“日本のラグビー”と、現在のメンバー(の
セレクション)がマッチしてるかというと首をかしげてしまうし、う〜ん、
やっぱ、体制から変えなきゃさ〜‥という気もしますが、(いざとなったら
発言力がありそうな)JKが、引用した発言の通りに(いざとなったら協会幹
部達なんかをうっちゃって)これまでの図式をひっくり返すような意識と戦
術でジャパンを作っていってくれる事を“ちょっとだけ”(←これまで繰り
返し落胆させられてきたので甘い希望は抱けなくなってしまっている)期待
したいと思います。
06/12/07 佳
(C) 2006 Copyright Kayoko Hosokawa All Rights Reserved.