Last updated: 10/28/2011 13:49:00
No.29 大学選手権決勝~MS杯決勝 雑感
<大学選手権決勝>
関東学院の戦い方、素晴らしかったですね。激しい。気持ちが入ってる。
意識、集中、まとまり、迷いのなさ。たゆまぬプレッシャー、そのための速
さ、強さ‥。すべての「勝ちたい」チームは、これを実践すべし(無論まず
練習ありき、ですが)。
<大西JAPAN>
NHKBS「スポーツ大陸」“魔術と呼ばれた組織プレー~ラグビー・大西鐵
之祐の伝説”を見てたら不覚にも涙が‥。以前「ノート」でチラと書いたよ
うに、大西さんについての藤島 大さんの本を読んでいたので内容自体は知っ
ている事だったはずなのに、改めて「日本のラグビー、こんなに熱かったん
だ」とジンときて、つい‥。だって、イングランド戦のジャパンなんて、試
合は「負け」ですが、「これ以上はやれません」って、そういう試合そうい
うプレーをしてくれたら、ファンはもう‥勝ち負けなんてどうでもいいんで
すよね、うん。
そんな試合、最近のジャパンで一度も見せてもらってない。メンバーの中
の誰か特定の選手のひたむきな姿に心打たれた事は何度かありますが、ジャ
パンとして/チームとしての試合に感動できた事ってホントにない。やはり
(←毎回同じ結論になってしまうのですが)個々人の責任というより、セレ
クション含めたチーム作りの根本、どういうチームでどういうラグビーをし
たいのかというポリシーが見えないのが問題だと思います。ここのトコ、
「問題だった」と過去形で言えたらいいなあ。だからこの番組、個人的には
JKにこそ見て欲しいと思いました。“水盃で「おまえら、死んでこいっ!
」”‥これを訳すのは難しいでしょうが感覚でわかってほしいものです。
この感覚がないと“世界と闘うジャパン”を創るのは無理だとすら思うので。
ところで、この番組を見て大西ジャパンの気概に素直に感動した一方で、
接近戦法の映像には「‥スローフォワードじゃん‥」「‥ライン参加後のパ
スが早すぎ‥」等、“魔術”とまで呼ばれている伝説のプレーを地におとし
めるような発言をしていました(横井さん萬谷さんすみません)。しかしこ
れでも日頃早稲田の試合では「何でスローフォワード とらへんねん?!」と
怒鳴りっぱなしの私にしては「‥スローフォワードじゃ‥‥ま、いいか」と
精一杯寛大な気分で“見ないフリ”なんですけど。何だか生まれて初めて早
稲田ファンの気分がわかったような‥(笑)。
<ジャパンの戦法>
それにしても、同番組のNZでの試合の映像で、FBがラインに入ってきただ
けで観客がどよめいていたのには思わず笑ったけど、それほどに斬新だった
んですねえ。今でも何か「目からウロコ」のジャパンオリジナル戦術って編
み出せないものかしら。
オリジナル‥というのとは違いますが、首藤君みたいなWTBは、世界と戦
う―大きな選手を相手にするという前提―には結構利く気がします。前に
NZU(NZ学生代表)が来日した時、つかまえられなかったですもんね、首藤
君を。だから私だったら、まず一人はかなり小柄でかなり足が速くて身体が
柔らかい(首藤君は柔道やってたそう)WTBを使うという戦略をたてて、そ
れを活かす或いはカヴァーする為に、又機能しない場合や逆におとりとして
使う場合のオプションに‥という風にイメージし、ここにはこういう選手が
必要‥とチームプランを考えていきます←「気分だけ」は“戦略家”。もち
ろん、大西さんの足元どころか靴底にも及びませんが。
<憧れの選手>
スクールの子供達の会話に、「矢富」「曽我部」「五郎丸」といった名前
が出てました。せっかくの憧れを不用意に壊しちゃいけないと思いとりあえ
ず大人しく聞いていましたが、私に言わせれば、矢富君と曽我部君はプレッ
シャーに弱い。チームが強いからプレッシャー下でプレーする機会が殆どな
くて不慣れという逆ハンディは認めます。2人も将来はプレッシャーに強い
選手になるかもしれないですよ。でも、ともかく現状は「プレッシャーをか
ければいいプレーができない」。だから「早稲田と戦うチームはハーフ団へ
思い切りプレッシャーを!」と言ってきたのだけど、今迄それをやるチーム
が不思議なくらいなかったんですよねえ、ようやくやってくれた、と、何だ
か自分が関東学院の監督であるかのような「会心」の思いでした。
五郎丸君だってDFがかなりかなりかなり心もとないでしょ。これも鍛えれば
将来はわかりませんが、少なくとも現状レベルで「国代表の
FB」に選ぶなんて、私だったら恐ろしくてできません。
何が言いたいかというと、本当はもっと、プレッシャーに強い、目立たな
くてもDFのイイ選手こそが、子供達の憧れになってほしいなあという願いな
んですが。考えたら、たまのTV放映があるのが早稲田戦で、しかもジャパン
になっててほめられ注目されている選手がいれば、凄いなあと憧れるのは当
然ですよね。その事だけでも、代表チームのセレクターとかTV解説者にはもっ
と真剣にというか責任をもって選手の評価してほしい!と訴える理由になる
と思う。ま、子供達が誰に憧れようがもちろんその子の自由だし好きずきだ
し、実際はどんな選手に憧れたって大丈夫なんですけどね。だって、イイと
こだけを上手に見るから(笑)。矢富君、曽我部君、五郎丸君、他の誰であ
れ、その人の良い部分を見て目標にしてくれればいい。(‥で、頑張って練
習していい選手になってくれればね!)
今名前をあげた3選手、けなしちゃってご免なさい。以前に村上晃一さん
達の事を書いた時もでしたが、無名の人に対してならこういう一方的な場で
批判めいた事を書くべきじゃないけど、知名度や人気を持つ人に対しては「
反」の見方もある方が逆に健全という気持ちなのであえて。
<MS杯>
準決勝、トヨタ自動車対東芝。トヨタは(割といつもそういうチームなん
ですがこの試合も)“一生懸命”なのは伝わってきました。思わず応援した
くなってしまう感じ。けどちょっと徹底してないんですよね。必死でやって
るんだけどバタバタしちゃっててもったいないな。
東芝は、チームのスタイルがあるのが強味。で、「ココ」という時と場所
に必ずといっていい程マクラウドとかホルテンがいるんですよね~。バツベ
イとオトが日本人として出場できて、その上にこの二人、というのはかなり
大きい。この試合では、廣瀬君のSOが意外にイイ、と思いました。尤も先に
少し書いた事とも関連しますが、選手の実力、特にSHやSOは、プレッシャー
がかかってる状態/不利な状況でのプレーを見てみないと、という面がある
ので、東芝でSOやってるのを見ただけじゃ断言できかねますが。でも、判断
良さそうだったから次注目してみようっと。
で、今日の決勝。廣瀬君は“及第点”。今日の試合では「今のはちょっ
と‥」と思った点も少しありましたが、致命的欠点というのではなく、SOと
しての経験を積んでいけば良くなりそうな改善の余地というべきものでしょ
う(‥え、廣瀬君って本来がSOだっけ? FBだと思い込んでましたが。そー
いや高校の時はSOだったような。あれ?大学では?‥思い出せない‥年か
な‥)。
それより、ラストワンプレーの時ですが、私は「モールやで、モール!」
と例によってTVの前で叫んでいて、東芝はモールからバツベイが飛び込んで
劇的な逆転トライ(正確には6点差だったのでコンバージョンが入ってはじ
めて逆転なのですが、真ん中だったから、トライの瞬間に敵味方と観客すべ
てが「逆転!」と‥)を決めました。試合後、この最後の攻撃について問わ
れた冨岡主将の言葉が良かったですねえ。「 あそこは、“(これ迄)東芝
を強くしてくれたのはドライヴィングモールだ、だから、トライはとれなく
てもいい、これ(モール)で行け”と言った」。
‥私なんか単に(ワンプレーのみの状況下だから、ミスの起こりやすいBKプ
レーを選ぶよりFWで確実に、とだけの発想で)「モールでトライとれ!」と
しか言ってないので、冨岡君の言葉に「ほお‥なるほどそう言うか」と感
心‥。「キャプテンってこういうもんなんだ~」と思いました。それにして
も冨岡君って、見ているこちらが何だか照れちゃうくらい熱いキャプテンで
すね。
<日本選手権1回戦>
(先にMS杯決勝を書いてしまいましたが、こちらが昨日行なわれました)
タマリバの試合を見て思ったのは(タマリバのBKに失礼かもしれないけれ
ど)、FW、特に第3列のプレーヤーというのは、どんなチームにいても、自
分の意識の高さと鍛錬とで、高いレベルを維持あるいは成長する事ができ
る(であろう)けれど、BKは、チームメートや練習/対戦相手の質の高さと
いうものがかなり影響する(であろう)、という事。だから、様々な制約の
中で一生懸命創意工夫と努力しているのはよくわかるけど、やはりトップの
レベルで常日頃やっているチームとの差というのは、容易には克服できない
なあ、 と。
でも、私は個人的に以前書いたようにあまりどこか特定「企業」のチーム
を応援しようという気が起こらなくて「クラブチーム」がいいと思っている
ので、今後も期待しています。タマリバの目標が日本選手権一勝ならば、全
国数多くのクラブチームの目標がタマリバであり、又、タマリバが選手権で
勝つ事は、彼ら「クラブチームラガー達」の目標でもあるはずだから、頑張
れ!
あ、もちろん我らが「安曇野ラグビークラブ」(と「おやじラガーズ」(笑))もね!
07/02/04佳
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