No.38 決勝トーナメントの前に
いよいよ8チームによるノックアウトトーナメント。その前に、もう一度、
4週間にわたるプールマッチを振り返ります。前回迄の大会でも、ランキング
下位チームによる番狂わせや大善戦、そしてトーナメント進出をかけた実力
伯仲国同士の熱戦等がなかったわけではありませんが、今回ほどWorld Cupの
名にふさわしいエキサイティングな予選プールは初めてでした。
A組
<予 想> 南アが文句なく1位通過、2位通過はEnglandが濃厚、しかし前回
大会でEnglandに肉薄したSamoaが今回はどこまで迫れるかトーナメント進出
なるか?
<感 想> Samoaは、出だしの南ア戦の不運が後まで響いてしまったようで
残念。ブライアン・リマに花道を飾らせてあげたかったし、個人的にSamoa好
きなので涙、でした‥。
しかし何と言ってもTonga! このプール、というより、ここまでの大会中
で一番輝いていました。Samoa戦、南ア戦‥、“奇跡のような”が大げさなら
、“夢のような”試合でした。余談ですが、ラトゥさん←さん付けが、NECに
来るそうです(例によって「ひょえ〜っ」)‥W杯でのような超人的なプレー
は見せてくれないだろうけど‥‥でも、はまるかも、私(笑)。Tongaは決勝
トーナメント進出の資格も可能性も十分にありましたが、Englandもさすが
ディフェンディングチャンピオン。前大会後から今大会前まで“ず〜っと”と
いって良い程“ケガの博覧会状態”だったWilkinsonの献身がチームを救って
います。今のEnglandは彼で何とかもってる印象。4年前は、彼が主役だけど
あくまで“チーム・イングランド”という感じでそこが何よりの強味だった。
豪Wallabiesを倒すには、前回決勝のような、チームとして迷いの無い闘いが
不可欠。期待しましょう。
USAにも感心しました。Samoa戦/南ア戦でのトライも最高!でしたし、他
のプールだったら決勝トーナメントに行けたかも(SamoaやTongaもですが)
というくらい良かった。キャプテンのハーカス選手とかリーダー世代が多分
これで引退しちゃうと思うけど、今大会で初めて見たような新しい選手もと
ても良かったので、このまま世代交替がうまくいってラグビー人気が出てき
たらぐんぐん強くなりますね。
予想通りの1位通過の南アSpringboksですが、「上手さ」よりも「強烈さ」
がチームカラーというかコワさのはずなのに、ここまでのところは激しさ不
足の印象。といっても、着火しちゃったらAll Blacksファンとしては非常に
嫌ですが。
B組
<予 想> 豪が文句なく1位通過、2位通過はWalesが濃厚、阻止するとし
たらFiji? しかしFijiは案外雑な面があるので、NZに善戦する等安定し
た力のCanadaがもしかすると‥。
<感 想> 予想外の展開! Fijiは初戦とはいえJapanに足下をすくわれ
そうな試合をし、Canada戦も負け同然の内容でした。ところが、負けそうな
試合で「負けなかった」事が、ものすごーく大きかったですねえ。最後の
Wales戦でモチベーションが俄然高まり、別人のようなチーム、見違えるよ
うなプレーになりました。この試合、単なる番狂わせではなく、稀に見る好
ゲームとしてW杯史上に残るでしょう。Walesは、(副音声の)解説者が何度
もコメントしていた「パニックする必要はないのに」「焦りのあまり却って
時間を無駄にしている」という言葉に尽きます。そんなに慌てずまずPGで少
しずつ加点するべきだった(トライにこだわりすぎ、最終的にトライはとっ
たのだけれどものすごく時間を費やしてしまった)場面とか、このゴール
キックが入ってさえいれば‥という場面(普段確実に決められるようなゴー
ルが、この日3度もポストにあたってそれた!)など、全てがよくできた小
説の結末につながる巧みな伏線のようでした。象徴的なのが74分くらいに
Walesがインターセプトから逆転トライを獲った時。思わず「え〜っ? な
んでもっと真ん中まで持って行かないんだ?」と叫んでしまったくらい“勝
敗をわける”場面でした。‥でも、実はこのプレーが勝敗をわけたんじゃな
くて、振り返ってみれば、Fijiの決勝トーナメント進出というのはもう運命
的に決まっていたに違いない、と確信してしまいます。先程書いた、本来負
けていた試合で負けなかったことを含めて。
ともかく、結果を知ってからでもというか、結果を知った上で見直してみる
とより興味深い試合なので、おすすめです、見て下さい。デラサウ凄いです
よ。リトルには胸を衝かれます(じーん)。
注目していたCanadaは、結果は残念でしたが、試合内容/得失点を見ると
よくわかるように、実力はかなりのものでした。但、全般に優れている一方
で、「これだ!」という絶対の形みたいなものがなかったのが、改善点とい
うか今後の飛躍の為の鍵でしょう。頑張れ!
Wales。過去にも予選プール敗退があったんですが、又‥。
Canada戦では“あわや”の時にベテラン投入で流れを変える事が出来たけど、
Fiji戦は最初からベテラン選手がそろい踏みでしたからねえ(笑)‥。つぼ
にはまった時のWalesのつなぎのトライの美しさはピカ一だから、もっと見
たかったなあと惜しくもあるし気の毒でもあるのですが、今回はFijiが出る
運命だったのだと諦めてもらいましょう。
C組
<予 想> NZが文句なく1位通過、2位通過はScotlandか伊か‥。
<感 想> NZは楽な試合ばかりだったので、トーナメントですぐにエンジ
ン全開できるのかが少し不安。今回こそは、決勝にさえ進めばもう何が何で
も優勝してくれるような気もするけど、準々決勝と(鬼門の)準決勝を乗り
越えられるか?
Scotlandは、Wales/Irelandよりもやや下位なのですが決勝トーナメントに
出られるので、WalesやIrelandの分までしっかり頑張ってほしいです。これ
は、Samoa/Tongaが出られない中でFijiが決勝トーナメントに進出した状況
と似ています。私は、はじめ、力が上回っているSamoa/Tongaが(なんで俺
たちでも出られへんかったのにFijiが出よんねん※何故か関西弁)と怒るよ
なあ〜‥と思ったのですが、怒るどころか喜んで応援してるのかも。Samoa/
Tongaの分まで頑張れ! よおし、南アvs Fijiは思いっきりFijiに声援を
おくるぞ〜!
Fijiの国歌も気に入ってるので頑張って覚えて応援します! ←すっかり
アイランダーにはまってます(笑)
Romania、Portugalもいい試合をしたらしい(実はまだ見ていない)。と
ころで、B組の欄で書き漏れましたが、Japanは、このあたりのランキングの
近い国々ともっとじゃんじゃん試合をしたらいいと思う(PortugalとはW杯
直前にやりました)。Georgiaとかね(尤もGeorgiaはかなり強いらしい)。
そこでほぼ確実に勝つくらいの力をつける。その次に、Canada(今回は引き
分けたけど実力は一段上)やUSAレベルとも常に競った試合、時には勝つ事
ができるように。そして、幸せな事にPNCでSamoa,Tonga,Fiji(プラスJr.
All Blacksや豪A)とも毎年試合ができるのだから、このあたりのレベルの
チームとも「もしかしたら勝てる」位になる事。
D組
<予 想> 仏/アルゼンチン/Irelandが三つ巴。どこが落ちてしまうの
か? ‥仏に落ちてほしい(笑)‥でも地元が早々姿を消したら大会が盛り
下がっちゃうしなあ‥。
<感 想> うぇーん、Irelandが落ちてしまいました(泣)。新聞に「O’
Driscollをもっと見たかった」という記者のコメントが載っていましたが、
本当に(しみじみ)。うーん。
しかしそれにしてもアルゼンチン! 開幕戦で仏に勝った事には驚かなかっ
たけど、Ireland戦を見ると“余裕”さえ感じる憎たらしいまでの強さ。何
か、第三回大会の南ア(優勝)を彷彿とさせます。(順当にいけばあたる)
準決勝でのWallabies戦は見物!
◎ W杯試合:DVDは副音声のみですが、VHS videoは一応二カ国語(日本語
でも聞けます)で録画しています。お好きなほうお貸ししますので、御覧に
なりたいかたはお声をかけて下さい。
07/10/04 佳
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