No.48 07年度選手権(後編:大学)
お約束の『大学選手権編』。真っ先にあげたいのが2回戦
(準々決勝)の「東海vs慶応」。
スクール掲示板に、“今年度大学選手権(ここまでのところ)の中で一番エ
モーショナルな試合だった”などと、訳のわからない感想をコメントしてし
まった試合です。
全くの五分だった前半からうってかわって元気の無くなった感のあった後半
の東海。「疲れたって事はないだろうに?」と不思議でしたが、キャプテン
の宮本君が脳震盪を起こして意識朦朧のままプレーしてたらしい。途中でベ
ンチがあいつおかしいぞと気づき無理矢理外に出した。
嫌々ながらに場外に連れて行かれる宮本君(←意識朦朧のはずなのに、納得
できない辛そうな表情で、しばらくライン外からじっとピッチ内の仲間を見
つめてた)。‥そうだったのか、彼が万全でない事で、あれだけ勢いが違っ
てたのか。その勢いのモトだった人が退場しちゃったら、もうこのままずる
ずる行っちゃうんだろうなあ、と思ったのですが、逆でした。キャプテンの
無念の退場で、チームが一丸となった。それからノーサイド迄、素晴らしい
プレーの連続で追い上げましたが、時間が足りず、惜しくも逆転はなりませ
んでした。でも非常にいいゲームだった。
この試合の両チームと、それと、同じく2回戦の「早稲田vs法政」の法政、
は、見ていてとても魅力的なラグビーを披露してくれました。法政戦での早
稲田なんて、FWゴリゴリで勝っただけですもん。法政の方が、W杯『南ア対
フィジー』のフィジー‥とまでは言いませんが、ともかく、敗者の方がずっ
と面白いラグビーをしてた、という試合でした。
次に準決勝の「明治vs慶応」。
あれだけFWで圧倒していながら勝てない明治。相変わらずの試合運びのお
粗末さ(確か、去年も全く同じ文句を言っていたような気がします)に「つ
くづく懲りない奴らやなあ」とあきれつつ(毎年、何やっとんねんとぼやき
ながらつい応援してしまうのも、どっちが懲りてないんだか、と思いますが)
TV(JスポじゃなくNHK!)観戦していました。応援と言っても、私は、今の
明治は衛籐君の出来が良くなければ(衛籐君がとめきれないと)DFはかなり
キツイ、と達観(?)してしまっているので、衛籐君が、らしくないタック
ルミスを連発する姿(※別記)を目にするに及んで、「これじゃ、今日はダ
メだ」と冷めた目で観ていました。‥が、不利な展開――あれだけFWで圧倒
していながらなんでそうなるのかという根本的な問題は一寸脇に置くとし
て(笑)――を、終盤挽回していった姿に、少し(少しだけです、あくまで)
希望が見えた気がしました。
※ ここで衛籐君について:
この試合、今季の彼のワーストでした。っていうか明治のDFラインに合わ
せすぎだったと思う。
私に言わせりゃ、明治のDFラインが、衛籐君の出に合わせなきゃいけない
のに。
NHKの解説によると、明治は、早稲田戦の後『防御のたて直し』をはかった
らしく、大学選手権1回戦2回戦で明治にしては珍しい(笑)完封試合が出
来たのはその成果、との事でした。
だけど、「そうじゃないだろ〜」と言いたい。地力でまさっている時は、
そういう、いわゆる理論通りのディフェンスシステムで事足りるでしょう、
でも、拮抗もしくは相手の方が有利な場合、そんなシステムなんかより、絶
対“衛籐のあの反応”のほうが必要なんだってば。
ルーキーイヤーの今年度、早明戦迄のゲームでのDFでの活躍ぶりは「‥衛
籐がいなかったら(明治)どーなってたんやろ」と感じる程でした。早明戦
でも、右ライン際でタックルした後にグラウンドを逆サイドまで走って最後
に又食らいつく‥といった働きを見せていましたが、如何せん孤軍奮闘では
体力も限界、途中でへろへろになっちゃってましたね。衛籐があと6人いや
せめて2,3人いるといいのに‥と溜め息が出た。なのにあんな中途半端な『
防御たて直し』は彼をつぶしちゃってる。山口君(BKコーチ)がそれに気が
ついてくれる事を、切に願います。
話を戻して。うん、昨季よりは良くなった。昨季は、FWは走らないわBKは
後退してるわ(笑)絶望的にひどかったけど、今年は少し(少しはです、あ
くまで)進歩しました。去年は、大学選手権で、大体大に、試合前「負ける
ぞ」、試合中「(こんなプレーしか出来ないようなら)負けちまえっ」と言
い捨てていましたが、今年は京産大(関西リーグの途中はイマイチだったけ
ど、最終の大体大戦で見事な試合をし、調子が出てきそうだったので、明治
と当たるのが惜しかった)に対しても「今年の明治なら勝つ」と思えました。
1月2日。未熟なDF、稚拙なゲームメイクではあったけれど、とにかく去年よ
りハートを感じる事ができました。勝てる試合を落とすたび「アホか、もう
知らんわ」と思ってきましたが、今回は(ま、「アホ」とは思いましたが)
「もう知らん」じゃなくて、少しだけ(ほんの少しだけです、あくまでも)
拍手したくなった。宇佐美君のヒット、山本君のラン、ピック&ゴー‥。
あと1トライ1ゴールで同点(に追いつけばトライ数で上回って勝てる)とい
うところ迄追い上げた姿に、冷めて観ていたはずが、終盤は「頑張れっ」と
TVの前ににじり寄ってました。こんな風に素直に「頑張れっ」と思えた明治
は久しぶり。そう言えば国立に明治の姿が帰って来たという事自体、本当に
久しぶりでした。来年は国立に「来る」だけじゃなく、紫紺がもっともっと
力強く、鋭く(反応も、スピードも、頼むからアップしてね)躍動して、勝
利を掴んでくれる事を願います。下級生のほうが熱くて元気(総じて言えば
ですが。今の4年生では趙君が卒業しちゃうのが淋しい。)だから、来年は、
又少し(少しでしょうけど、あくまでも‥いや、それじゃ困る‥)強くなれ
るかも。 最後に。ノーサイド後、慶応フィフティーンが明治に歩み寄り、
「hip hip hurray」のエールを送った姿も素敵でした。さすが慶応ボーイ(
‥ですよね? H田さん)。
準決勝2試合目「早稲田vs帝京」。
帝京は対抗戦での試合で明治や早稲田の敵ではなかったので、早稲田の楽勝
を予想していたら、驚いた事に大接戦。五郎丸君の不在が響いたと皆言って
たけど、そういうワケではないと思うな。
ま、五郎丸君はともかく、豊田君がいなけりゃ、負けてましたよね、ワセダ。
‥しっかし、その豊田君をも凌ぐほどのポテンシャルを感じさせたのが帝京
の堀江君でした。これ迄「堀江堀江って、彼のどこがそんなに凄いんだ?」
と、よくわからなかったのですが、この試合を見て「!! 堀江君!! ちゃん
とやったらすごいやんッ(爆笑)」と、本人が聞いたら誉められてるんだか
けなされてるんだかわからないであろう発言を連発しておりました。←ちな
みに、誉めてます、一応。いや〜、何か、すごい秘めた能力を感じました。
豊田君が救世主の如く働いてぜーぜー言ってる横で、息も乱さず涼し〜い顔
してる堀江君‥‥あの姿を見て、「!! アンタがへとへとヨロヨロになるまで
力を出し切ってくれたら(帝京が)勝てんのとちゃうの〜?!」と思ったのは
私だけではないはず←それでも誉めてます(笑)。 それにしても、必死で
戦った両チームには失礼ですが、笑いながら見てしまった面白いゲームだっ
たなあ。
この準決勝2試合はNHKで放送があったので大勢の人達が見たと思うのです
が、予想以上/予想外に好ゲームで反響があったのではないかしら。あの後、
気のせいかNHKで『ラグビー』をとりあげる事が増えたように思えて、「イイ
傾向だ。」と喜んでいました。
‥ら、今日の決勝ですよ(当然これもNHKで放映しました)
「早稲田vs慶応」。
悪天候でコンディションが悪かったのは認めますが、それにしても凡戦。ま
ず、負けた側に挑戦者の気迫がイマイチ不足。最後、勝負が完全に決した頃
になってようやく“必死の攻防”が見られたけれど、そこ迄は迫力がなかっ
たなあ。山田君の“日本人とは思えない”ステップ(←去年、高校で山田君
の1年先輩だった選手に、彼って昔からあんなんやったん?と聞いたら「ええ。
あいつは人間じゃないです」と言うので笑っちゃいましたが、そういえば私
もデラサウのステップを見て「人間じゃない!」と思ってしまったので、何
となくわかります)を楽しみにしていたのに(但、トイメンは工大高出身の
中濱君なので、そうやすやすとは抜かれてたまるか、とも。←アンチWなの
に、中濱君がボールを持ったりディフェンスしたりしていると、つい条件反
射で「よし、行け!」と思ってしまうので困っています)、故障上がりらしく
て調子が良くなさそうで、それだけでもこのカードのワクワク感が少し減っ
てしまいましたし。勝った側も同様にミスが多くてしまらなかった。「う〜
ん、(悔しいけど)さすが」と思えるところもなく、魅力的なラグビー、と
は程遠い内容。更に、どの試合にもある事とは言え、お粗末なジャッジ(下
井さんは決して嫌いなレフリーではないのですが)も相まって‥あ〜っ、
すっきりしない! 頂上決戦なのに、あまりにつまんない試合で不完全燃焼
に陥ってしまいました。‥こんなの、絶対、前座でやった高校生の東西対抗
戦のほうが面白かったに違いない!! と信じていますが、どうだったでしょ
うか‥。毎年思うんですけど、決勝戦だけじゃなく東西対抗も放映してくれ
るといいのになあ。
何はともあれ、せっかくの『イイ傾向』が、なあんだ、ラグビーなんてあ
んまり面白くないじゃん、とならないように、次は日本選手権で好試合が展
開される事を期待します。それと、くどいけど、他にたくさんあるイイ試合
を一般の人がもっと普通に目にできるように、ぜひ、Jスポ以外でのラグビー
の放映が増えますように!
08/01/12 佳
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