No.65 そこにいない彼らへ
これで(今年は)終わりにするので、もう一回だけおつきあい下さい。
常翔学園について。
大阪予選決勝の録画を見ました。
決勝直前に「この調子なら大丈夫」と心を強くしたとは言え、一旦ある種
覚悟をしていたこともあり、「花園」への道が断たれたと知った時、動揺
はないつもりでした。「ちょっとがっくりしてますけどご心配なく」と言っ
て回ったり、「野上先生も、負けたという電話をかけるのは嫌だろうし」
と気を回し先手を打って「残念でした‥」とメールしたりと、ちょこまか
動いてた。けど、試合を見てしまうと、そして彼らの姿を目にしてしまう
と、やっぱり結構ズキンと来た。
攻めまくる、という姿勢が、ひょっとしたら欠けていたのではないか。
と、実は少し想像していたのですが、そんな事なくて、入りの2分間なんて
気迫十分だったので、「‥えー、これで勝てなかったの‥」と意外でした。
結果を知って見ているから余計にそう感じるのだろうけど、些細な事なん
ですよね、勝敗の分かれ目って。一瞬の隙、ちょっとしたミス、不運な
ジャッジ、細かなツキのなさ。いつもの私なら「そんなのカンケーない」
と断じるところ。そんなつまんない事ほっといて、ただ自分達のプレーを
すればイイ、って。でもその私が未練がましく思ってしまう、ああ、これ
さえなければ、ああ、ここさえうまくいってれば、と。
「メチャクチャでもいいから‥」なんて無責任に書いた(前回)けど、
勢いだけで勝てるほど甘くはない、とつくづく思った。いえ、もちろんそ
んな事はハナから承知で、どちらが勝っても負けても全く不思議ではない
五分の相手との一騎打ちだからこそ、紙一重の勝利をもぎとる為のがむしゃ
らさが欲しかったのですが、あまりにちょっとした事で勝負の天秤が揺れ
てしまうのを見ていると、逆に、そんな風にスパッと割り切れるような事
じゃないんだな、と感じました。スパッとなんていかないから、だから悔
しいんだよね。
泉キャプテン。
気合いを入れるために刈った(のかどうか知らない)頭が、潔くて男らし
い。色んな高校の、ゲーム前のコメントを聞いていると、「‥このキャプ
テンって、なーんか横柄。もっと謙虚じゃなきゃいかんよな」(という感
想自体も結構エラソーだという気もするが)と思ってしまう事がたまにあ
るけど、「勝つ、とは言わないけど、勝ちに行きます」‥イマドキの子に
は珍しい謙虚な発言でした(好き←笑)。謙虚だけど弱気ではない。きっ
ぱり、「男の勝負です」とも。(‥好きだわ、と又言いたくなるが、気持
ち悪がられそうなのでやめよう。←でも書いてる)。
「試合」には勝てなかったけど、「男の勝負」には全然負けてないよ、
キャプテン。
それにしても、もし私があの場にいたらキャプテンやメンバー達が泣き
じゃくる顔と女子マネさん達の涙にもらい泣きして、ひどい有様になって
いたに違いない。あー良かった、行かなくて。
なんて、嘘。自分で勝手に決めてただけ。予選決勝には行かない。「花園」
で皆を待っていよう。
録画を見ながら、少し後悔してました。
私があの場にいたからといって試合の流れが変わるわけではない。私一人
の応援が加わったからといって彼らの力になるわけじゃない。それでも、
声援を送っていたかったな、と。今更詮無い事ですが。皆と一緒に、マネー
ジャーさん達と一緒に、一生懸命、両手を合わせて祈りたかった。
もう一つ、ものすごく後悔したのが、「大阪3枠の優勝校で最終決戦を
やって1校落としてでもいいから天理と御所の両方を出してあげたい」(
No.61)なんて思ってしまった事。思っただけで、別に実際に大阪の出場
枠が削られたわけでもないのだから関係無いとは言え、あんな事思うなん
て、と自分を罵りたくなった。ご免なさい、大阪は5枠くらい欲しいです。
今年代表になった3校の内の2校が(あとの1校つまり仰星は、一昨年は
全国制覇を成し遂げていながら昨年出場の3校の中で唯一「花園」一勝を
あげられなかったという屈辱を味わった学校)、去年は涙を呑んだ側の学
校(啓光なんて2年間出られなかったわけだし)。どこが勝っても負けても
おかしくないし、負けた学校が全国で戦ったら優勝を狙えるほどの激戦区。
当然、常翔が必ず「花園」に行ける保証などありはしないわけで、負けてし
まう年があっても「仕方ない」。
わかっているのに、ふと気がつくと、ぐすん、天野君もっと見たかった
よー、とか、花園で「常翔学園ラグビー部部歌」を歌いたかったー、とか、
福谷監督、落ち込んではるやろなあ、とか、野上さんが慰め役かなぁイヤ
もしかすると一番へこたれてはったりして、とか、ぼーっと色々考えて
る。‥考える度に惜しい‥。
でも、とにもかくにも私なんか部外者の分、当事者の皆よりダメージが
少ないのだから、早く立ち直って、できるサポートをせねば。気持ちを新
たにしよう、と思う。
というところでいつもの能天気なトーンに戻りますが、常翔対仰星戦の
TV放映のゲスト解説をしていたのが、元木君と、なんと重光君だったのに
はたまげました。おおっ重光君、何故あなたがここに?(答:近鉄花園ラ
グビー場だから)。‥来週の京都決勝でも解説してくれへんかな。
大阪予選決勝の、他の2試合も見ました。
啓光対朝高は、音声を消し、特殊加工でユニフォームを変身させて映し
たら、トップリーグのチームの試合だと言っても通用する、と思いました。
朝高、素晴らしかったです。唸りました。そこに勝つんだから啓光はものす
ごいって事か。
大阪桐蔭対同志社香里は、アプセットが起きそうだったのを大阪桐蔭が
地力で凌いだ試合かと推測してたら、アプセットというより‥あれ、同志
社香里が勝ってた試合だな。同志社香里不運!と気の毒に思ったけど、本
人達は「勝てる」と思ってなかったのか?案外サバサバしてました。
大阪桐蔭はこの花園切符を単にラッキーで終わらせず、W杯でのFijiが“
負けてる試合で負けなかった事”を最大限に活かしたように、運も味方に
つけて大いに暴れまわってほしいものです。
紺赤がいないのは淋しいけどそれでも「花園」に期待してる。辿り着け
なかった選手達の分迄力一杯プレーしてほしい。私も、そこにいない選手
達の姿を忘れずに、今年の花園を見るつもり。
2008/11/12 佳
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Last updated: 10/28/2011 13:49:00