No.66 つれづれなるままに
北半球へのEnd of Year Tourシーズン到来。Ireland vs All Blacks
(11月16日)。
Dublin、クロークパーク(Croke Park)、ケルト民族の聖地‥。
スタジアムを立錐の余地もなく埋め尽くした大観衆が、緑の「戦士」達の
入場を、地響きのような歓声と拍手で熱烈に迎える。
“ソルジャーズ・ソング(Soldier’s Song)”と“アイルランズ・
コール(Ireland’s Call)” (No. 52参照)、「2つの国歌」で更に
増す高揚感。これでもか!と言わんばかりのIrelandのホームアドバンテー
ジに、対するAll Blacksは、Kapa o Pangoで必勝を宣言する‥。
開始早々からAll Blacksが敵陣深くに侵入するも、Irelandがしのぐ、
からむ。間髪おかず攻守が入れ替わるターンオーバーの連続。
DC(ダン・カーター)が、ほぼ中央のPGをはずし、コメンテイター(例の如
く副音声)に「カーターも人間ですな」なんて言われるかと思えば、
Ireland司令塔オガーラも、PKチャンスに信じられないミスキック。一瞬の
判断の遅れや誤りが、即、命取りになる、ものすごいプレッシャーの下、も
のすごくタフなゲームをやっているのだと、おのずと理解できる。
冷静に見てしまえば、もっと落ち着けばいいのにと言うべき場面もあるけれ
ど、選手達自身が、特別なゲームだと感じているのが伝わってくる、テスト
マッチ独特の緊張感。ピシッとひび割れそうになる危うさをはらみながらも
均衡はなかなか崩れない。息もつかせぬ攻防に背筋が震える。
だけど、前半の最後でAll Blacksがペナルティトライを得た(更に
Irelandにイエローカード)事で、All Blacks側に余裕が出来てしまったの
が惜しい(‥って、どっちを応援してるんだか)。
そこまではずっと、ホント緊迫した展開だったのに、あれでとうとうひびが
入り、後半は亀裂があちこちに、終盤は殆ど粉々に、と一方的になったので
残念でした(最終スコア3対22)。
IrelandがAll Blacksに勝てないって、少し悔しいな、好きなチームなので。
それとO'Driscoll。彼は絶対Irelandから出てほしくない、などと勝手に思
い入れしている選手なのだけれど、同時に、もし彼がIrelandじゃなくて例
えばWallabiesにいたとしたら‥と一体これまで何度思ったことか。
O'DriscollがSpringboksにいたら、All Blacksにいたら、ラグビーの歴史
が変わっていただろう、と想像するのをとめられない。2005年のBritish &
Irish LionsのNZ遠征では、O'Driscollが、WallabiesでもSpringboksで
もないがとりあえず(失礼)Lionsでプレーするのが見られると楽しみにし
ていた(01年の豪遠征時は関心がなく←なんて事だ‥ 見てなくて、03年W
杯後になってから映像を見ました←後から見ても凄いは凄いのだけど、「そ
の時」に見るのと比べると興奮度が‥)のに、All Blacksとの初戦、僅か
開始2分で“スペアタックルを食らい”(とABsファンの私が敢えて書く)
肩を負傷し退場。Lions主将のNZ Tourはあまりにあっけなく終わってし
まった。これを無念と言わずして何と言う。
と、つい回想しながらも、んあーっ、無念じゃーっ、と口惜しくなってし
まった程「つくづくやっぱりO'Driscoll」(←意味不明)。
07年W杯でも、Irelandの予選プール敗退で、世界中のラグビーウォッチャー
を「もっと見たかった」と涙させた(No.38参照)。そう、いつでも中央に
いるわけではなくて、どこか運の無さがつきまとっている気がする。それで
余計に心惹かれずにおられない。日頃は、誰かのプレーだけじゃなく、フィー
ルド外での態度や性格等(もちろん知り得る限りでですが)も含めて「好き」
とか「好きなタイプじゃない」とか思うのに、O'Driscollだけは別格。私
生活で派手な浮名を流していようが何していようがどうでもよくて、競技場
で姿を見られる事を純粋に喜べてしまう。とにかく競技場にいる限り「最高
の選手」と、いつも確信を新たにしてきた(つくづくやっぱり)。
だっけど、今回彼とコンビを組んだ12のFitzgeraldっていう選手、ちょっ
と驚きでしたね。O'Driscollと見まがう(実際、何度かO'Driscollと見間違
ってしまった)切れ味。‥でも簡単に「好き」とは言わない(笑)。
LionsからBarbariansへ話が飛びます(飛ばせます)。
WallabiesとBarbarians(ま、世界選抜みたいなもんですね)のマッチがあ
るそうです(12月3日)。Richie McCawがBarbariansを率いるらしいのです
が、このメンバーがかなり凄い。BKは、ハバナHabanaやジャン・デ・ヴィリ
エJean de Villiers (いずれも南ア)、“Walesの国宝”シェーン・ウィリア
ムスShane Williams‥とスターがズラリ(これでO'DriscollとDCなんかが
いたりしたら言う事ないのに)。そしてFWも、お懐かしやのジェリー・コリ
ンズJerry Collins (NZ)にボクス主将のシュミットさんJohn Smit に、と
嬉しい顔ぶれ。しかし何と言ってもスカルク・バーガーSchalk Burger Jr.
(南ア)。彼とMcCawが「同じチームでプレーする」というのが見もの!
どっひゃー (←もう少し上品な表現ができんかな)‥。Wallabiesの3列、
特にジョージ・スミスGeorge Smithがどう対抗するのか(果たして対抗で
きるのか)、興味津々。親善試合、なんて呼べないような、真剣勝負を期
待します。
そして話は日本に飛びます、‥というか、墜ちてきます、という感じ。墜
落それとも撃沈。
‥明治‥。言葉もないです。
去年まで、言いたい放題の文句や批判を書いてきたけど、何だかんだ言って
も明治がそこそこの位置(あの程度で“そこそこ”というのも昔を考えれば
淋しいのですが)にいたから言えたんだ、とわかりました。
全然良い内容じゃないのに一応そこそこの成績(早明戦は別として)。だか
ら「こんなんじゃあかんわ」と言い放ち、「いっそとことん負けちまえ」と
吠えていたのですが、とことん負ける明治、を、見ていられない事実に気づ
いてしまった。
(日本の)ラグビーを好きになった「はじまり」が明治だったから、三つ
子の魂百まで(←ちょっと違うんでは‥)で私には明治へのノスタルジーが
刷り込まれてしまってるのだろうか。自分がこんなに明治にこだわっている
とは思ってもみなかった。
慶応戦。相変わらずの試合運びのまずさ。だけど去年と状況が違う(既に
2敗)というだけで、いつものように突き放せない。ああ、惜しい、うまく
やれば勝てるのに、と辛くなるばかり。
帝京戦。「早稲田を倒した帝京」には、ふふん、トーゼンよ「今季はやっ
ぱ帝京でしょ、南橋でしょっ」とラブ・コールを送っていたくせに、「明治
を圧倒する帝京」は憎らしく見える‥。(衛藤を振り切る南橋、衛藤に食ら
いつく南橋、に無性に難癖つけたくなる‥のにいたっては、もはや治療矯正
不可なのでは、と自分で愕然としました‥重症だ。)
個々にはすごい選手がいるのに。チームになると闘えてない。こんな屈辱
的な差になる程の実力差があるわけないのに。かわいそう。もったいない。
ダメな部分、なんでダメなのか、が「ものすごく明白」な気がする(だいぶ
前から言ってる通り)だけに、それがどうして変われないのか??? 去年な
ら「アホなんや」でバッサリお仕舞でしたが、今年は「どうして変われない
のか‥‥‥(ずぶずぶずぶ)‥‥‥」と沈んでしまいます。
泥沼の4連敗。浮上の気配なし。選手権の扉は既に閉ざされた。残るは早
稲田戦のみ(12月7日)。一体どうなってしまうのだろう。
「早明戦」。
12月第一日曜。対抗戦を締めくくるのは毎年このカード。
なーんだ今年も優勝の行方と関係ない早明戦かあ、なんていう贅沢な(と今
では思える)不平や、なんでいまさら早明戦なわけ~、他にもっと面白い
ゲームがあるのに、などという不満の数々。全ては、結局のところ、早明
戦があくまで「早明戦」であるからこそ言えたこと。早明戦が「早明戦」
でありえなくなるかもという危惧が現実味を帯びてきた 今、そんな事言え
やしない。不平と不満を並べながらも、ラグビーもよくわかってないよう
な学生達がお祭りのノリで行ってるんだからヤだよねえ、と文句を言いな
がらも、頭の片隅か心の奥底かどこかで、「早明戦」に特別の想いを抱いて
いた(ようです)。だって「早明戦」は日本で一番「テストマッチ」の雰囲
気を味合わせてくれる試合だもの(それが日本ラグビーにとって肯定すべき
事なのかは別だけど)。
だから明治は、よくよく、必死で考えてほしい。ホントによくよく、肝に
銘じてほしい。自分達が、12月最初の日曜日に国立に立つ、という事がどう
いう事なのかを。力と技。意地とプライド。相手に敬意を払いつつ決して自
分達を卑下しない。誇り。これ以上はできない、と自分にも観衆にも微塵の
気後れなく断言できるだけの全身全霊でのプレー。
「テストマッチ」にふさわしい死闘ができるのか。しなくちゃならない。明
治。
さて、15/16日の週末を過ぎ、各地予選決勝の録画が届き出しました(
毎晩一つずつ見てます)。
まず見たのはもちろん奈良。
終わってみれば「やはり」としか言いようのない結果。
天理もすごくキレイなラインで見事な攻撃を見せてくれたんですけどね。あ
と少し畳みかける事ができていれば又違った展開になっていたでしょう。素
晴らしい選手もいました。これからも頑張ってほしいと思います。
それにしても御所。余程、まだ地に足がつかない立上がりの段階で叩きの
めさなければ、このチームに勝つのは至難の業ではなかろうか。自分達の
ペースを掴んでしまったらホント強いです。
そして京都。
伏工ももっと力があるはずなんだけど、何故か“自信”が感じられなかった
なあ。いつものチームほどスピード感が、というか、フォローが次々湧いて
出てくるつながりが、残念ながらなくて、「らしくない」感じでした。ノン
ストップラグビーを、又、期待しています。
京都成章。一昨年勝った時には、失礼ながら「これ、ホンマは伏工のほう
が強いのに」という感想を抱いたものでしたが、今年の成章はなかなか良
かった。伏工のお株を奪うような縦横無尽の攻撃に、気持ちの入ったディ
フェンス。成章はこれまで、せっかく伏工を下しても「花園」に来るとイマ
イチパッとしなかったのですが、今年のチームはちょっと予感めいたものを
感じます。とある理由で個人的に注目している選手がいるので、彼の活躍ぶ
りも楽しみ。
欧州から国立、古の都、と来て、最後は地元ローカル(笑)。
週末はスクールの今年度最後の公式戦です。
先々週の大会で(担当の)チビッ子チームもようやく勝つ事ができ皆、喜ん
で張りきっちゃってます。T君(一応主将)なんか「いいか、23日は絶対休
まず、みんな来いよ! 今度もやるぞ!」と檄(?)を飛ばしてました。
かっこいい‥←ちなみにT君は小2(笑)。
中学年チームも、高学年チームも、中学生も、皆揃っての大会は久しぶりな
ので、頑張ってほしいと思います。では今日はこの辺で。
2008/11/19 佳
(C) 2008 Copyright Kayoko Hosokawa All Rights Reserved.
Last updated: 10/28/2011 13:49:00