No.71 秩父宮にて
入替戦の後、東京に移動し、翌日はTLを観戦。
早目に到着した秩父宮で、第一試合のクボタとIBMのメンバー達がアップを
行なっているのを眺めていたら、背後で「只今から、“FOR ALL 握手会”
を開催しまーす」という声。(TV観戦ではなく)会場に足を運び、選手にじ
かに声をかけよう、握手をしよう、という(事なんでしょう)イベントのよ
うです。クボタ/IBMから計5名の選手が出て来てトップリーグロゴ入衝立
て(と呼ぶのかしら、会見の時とかに背景に置いてあるやつです)の前に
立っていて、観客達がスタンドに入って行く前に立ち寄っては握手をしたり
一緒に写真を撮ったりしている。
「‥って言っても、試合に出るメンバーじゃないし」などと思いつつ(すみ
ません)握手会に背を向けてアップのほうを見続けていた(IBMの練習が結
構面白かった)のですが、しばらくたって「‥ んっ?」。‥衝立ての前に
立ってるの、吉田選手じゃん(試合には出ないのかあ※)。
「‥やっぱ、せっかくだから握手しに行こっかなー♪」しかし、見ていると
子供達や若い女の子達とかが嬉しそうに握手してもらっていて、選手達のほ
うも嬉しそう(笑)なのだが‥「おばさんが行ってもいいんだろーか、うー
ん」。柄にもなく迷っていたら「間もなく終了しまーす」というアナウンス。
その声に背中を押され、吉田君(私がいた場所に一番近い右端に立っていた)
の前へ行くと、にっこりと(注:嬉しそうに、ではない(;_;))握手をし
てくれました。握手だけじゃもったいない(さすがにおばさんの発想はせこ
い)と、写真もお願いすると、「はい、じゃあ皆(5名の選手全員と一緒)
で」。6人で並びかけたところに男の子が握手にやってきたので、「ボクも
一緒に♪」と誘い(ご免ね、いきなり)、選手5人とおばさんと子供(しか
も親子じゃない)という妙ちくりんな記念撮影をしてまいりました。
ありがとうございました、と選手のほうへ向き直って、又、順に握手をし
ていったのですが、吉田君の隣にいたのが小堀君(やはりにこやかに、温か
く両手で握手をしてくれました。へー、こんな愛想のいい人だったんだ、と
印象が変わった)で、思わず「この間、明治、良かったですね!」と話しか
けてしまいました。その次にいたのが‥「龍大の井上君‥ですよね?」「あ、
はい」「昨日、龍大の入替戦、行って来たんですよお」「あー、なんかすご
い惜しかったみたいですねえ」「ええ、ものすごく惜しかったです(泣)」
ついそんな話をしてしまいました(昨日の今日だし話さずにいられなくて)。
ここまでがクボタの選手で、次はIBM。申し訳ありません、一人目(5人中
の4番目)のかたは誰なのか知らなかったので、声のかけようがありません
でした。「頑張って下さい」ぐらい言えよとお思いでしょうが、どんな選手
なのか知らずにそんな事言えない。お義理の「頑張って」なんて言いたくな
いし。5人目は、竹山君。2季前にカントーが大学日本一になった時のFL。
彼(とその年の慶応主将青貫君)にジャパンのFLをやらせてみたい、と思う
くらい好きでした。だから、口をついて出たのは「試合に出て下さいよ」と
いう言葉。彼のプレー見たいんだもん。
ところが“握手会”が終了して5人の選手達が立ち去った後で、ふ、と、
吉田君には(写真の事をお願いしただけで)何も声をかけなかった事に気が
ついた。‥私とした事が! 小堀君に明治の話をするんなら、吉田君にも
「帝京、優勝おめでとうございます」だろーが(と自分で突っ込む)。
‥違う、そうじゃない。吉田君には「“10年越しの優勝”ですね」、と言う
べきだったんだ。
1998年度帝京大学ラグビー部。主将は難波秀樹。難波君とセンターのコン
ビを組んでいたのが吉田君。4年生になるこの2人の活躍がすごく楽しみで、
「今年は帝京が‥(優勝?)」と期待していた。けれどこの年、部員の不祥
事で帝京大学ラグビー部は対外試合を辞退。帝京ファンでもない私まで「え
えーっ、そんなの」と嘆いたくらいだから、部員達、そして難波秀樹と吉田
英之のショックは如何ばかりだったかと、今振り返っても気の毒になる(
尚、この年やはり不祥事疑惑が持ち上がった早大ラグビー部は、問題の当事
者である主将が“引責辞任”しての“主将交替”でお茶を濁した)。
あれから10年。
帝京の遅すぎた初優勝を吉田君は(難波君も)どんな気持ちで見たのか、聞
いてみたかったな、‥と言うには余りにも赤の他人すぎるけれど、「10年越
しの優勝ですね」と言えていたら、どんな顔をしてくれたかな、“営業用”
ではない微笑みを見せてくれたかもしれないな、と想像してみる。勝手に素
敵な笑顔を思い浮かべ、ああ、ぼけーっとしてずにちゃんと言えば良かった、
と勝手に後悔しながらも、「10年たっちゃったけど、でも良かったね、吉田
君」とこれまた勝手に思って、何だか穏やかな気持ちになる。
しかし、気持ちが落ち着いたのはこの時だけで、それ以外は心が揺れてば
かり。前日のやりきれなさをまだひきずってるって事もあるけど、この日の
サントリー対近鉄も‥。近鉄の事を書こう、と思うのだけれど、まとめられ
ません。
※ ところで、吉田君はこの日(12月14日)まで“出場停止処分中”だった
んですよね。処分は知ってましたが「へっ? まだ処分中やったんか、長い!
」という感じ。9週間って、相当厳しい、一体どんな事をやらかしたんだか‥
見ていないのでわからない。でも、反則の処罰って、その時によってものす
ごくマチマチなのが苛立たしいです。
この日の近鉄は、(見ようによっては)悪質とは思えないプレーでいきなり
「レッド(イエローではない)カード」を出され、結果の上ではそこで14人
対15人になってしまって以降(そこまで同点だったのに)立て続けにトライ
を奪われて敗戦。
かと思えば、シーズン序盤のヤマハ戦では、トライまであと一歩というとこ
ろでタッチに押し出された際(サントリー戦とは逆のケースだけれど全く同
じ様な場面)、ヤマハ選手(◯郎丸ですよっ)が近鉄選手(重光君ですよっ)
の頭を故意に(悪質だよっ)蹴った‥にもかかわらず、単なるペナルティに
しかならなかった。どうにかしてくれーと言いたくなります。
気持ちが落ち着かない、心が揺れている、というのは、そういうイライラ
も少しあるかもしれない。でも、そのせいだけではない。何か、本当に書く
べきシーン、それが欠けている気がする。
最終節まであと4試合。
近鉄の事を、すっきりした気持ちで書けるようになりたいと思っています。
2008/12/18 佳
(C) 2008 Copyright Kayoko Hosokawa All Rights Reserved.