No.77 花園準決勝

 2日から始まった“裏花”。
常翔学園は1回戦、2回戦と圧勝。
昨日の準決勝(伏工戦)が山でしたが、12対5で勝利! 
結果をチェックするために開いたPCの前で「よっしゃーっ!!」と吠えまし
た←バカ。これで、本大会(サニックスワールドユース)出場が決定。年末
30日の花園行きをとりやめて路銀を貯めた私(笑、いやホントです)、この
瞬間、まだ松の内なのに一気に頭の中がゴールデン・ウィークにすっ飛ん
だ(やっぱりバカ)。
 というわけで、準優勝以上イコール出場権獲得、つまり今日の決勝(相手
は天理)で勝っても負けても関係ない、といやあそうだったんですが、‥花
園の準決勝と同じ日に行なわれる決勝‥、花園に劣らぬ熱い試合をしてほし
い、と思ってました。
結果は‥24対9で見事優勝! やったー、パチパチパチ(←PCに向かって拍
手してるバカ)。

 「5月の福岡」へ飛んで行った頭を正常に戻し(てかどうかは不明)、「
正月の花園」。準決勝。

 常翔啓光学園対東福岡。
やっと、啓光らしいDFを見る事ができた。それでも1本はFWゴリゴリでとら
れたけど、あれはもうしょうがないとして。ブルーのジャージが低く鋭く出
ていくのを見ていて、とりあえず、少なくとも大崩れはしそうにない、東福
岡ペースにさせないゲームに持ち込めそうだ、と、“信頼”とでもいう感触
を得ながら、それでも全然安心はできない、何だかおなかのあたりに力が
入ってしまう試合(啓光目線ですみません)。後半24分位に啓光の選手がシ
ンビンを言い渡され、(久我山に続き)又か???と思わず立ち上がりかけ
ました(立ち上がってどうする)が、幸い、それによってゲームの流れがヒ
ガシに傾く事はなかった。
東福岡。
今年は、結局最後迄、花園で強くなったという感じがなかった。最初から十
分強かったのだけど。
福岡決勝での、ゲームのシビアさに似つかわしくない笑顔そして「技のラグ
ビーは研究されるが、力の差は対応できない」という言葉‥それらに対して、
正直言ってかなり違和感を抱いた。同時に、ヒガシに対しては、その違和感
を払拭させられる程の、いや、違和感はあったとしても「へらへら笑ってい
ようが強いんだからしょうがないか。悔しかったら勝ってみろって事だよな」
と納得せざるを得ない程の、問答無用の力強さ、を期待していた面もある。
一昨年や昨年のチームになら、そういう、有無を言わさぬ、といった強さが
あったのだけれど。
今年のチームのどこが昨年より劣るのか、力的には遜色ないはずなのに。一
つ感じたのは、谷崎監督も猿楽君も口では自分達はチャレンジャーだ、と
言っていたけど、ホントにそうだったかな、という事。「個々の力、才能で
は負けない」「自由にのびのびと自分達の力を出しさえすれば負けない」、
そんな風に思っていたのでは。
自らの力を持て余すかのようにして敗れた今日の試合を見て、東福岡は、も
う一度、いい意味で王者の自覚をなくしたところから始めなければ自らの殻
を破れないのでは、という気がしました。

 京都成章対御所工・実。
成章のDFを信頼してはいたけれど、ここまでロースコアのゲームになるとは。
0対3。最小スコア。
御所の、美しい(心躍るというのかドキドキするというのか何と言うのがふ
さわしいんだろう)展開が、少し花開いてはバサッと刈り取られる。
花を開かせる事が難しいと判断し、中盤は展開を封じてキックを繰り返す御
所。ずっとずっと、地域もボールも支配しているにもかかわらず、攻めあぐ
ねる御所。それでもどこかで綻びるだろう。御所、そして恐らく殆ど全ての
観客も、そう思っていた。青と黄色のユニフォームだけは違う。綻びるもの
か。展開されても、縦をつかれても、裏に蹴られても、パントをあげられて
も、どこからどんな風に来られても。ひたすら封じる。
残り時間が3分位になった時、この試合殆ど攻めの時間が無かった成章に、
最初で最後のチャンスが訪れる。敵味方双方の観客がその意味に気づき愕然
とする。0対3。 PGでも同点、どんな隅っこでもトライなら逆転。何が起
こっても不思議ではない。そして、何かが起こったとしたら、もう再逆転す
るだけの時間は残っていない。
異様な空気の中、成章の攻撃が続く。自陣から、攻めて攻めて攻めて、敵陣
の22m近くまで来たところでラックが静止する。どう攻めるか、と、SHが次
のプレーの判断に費やした一呼吸、まさにその一瞬、動かない密集となって
いた成章を御所の選手達が一気に乗り越えてゆき、ターンオーバー。即タッ
チに蹴り出し、ノーサイド。文字通りまばたきする間の出来事でした。
あれを敗因と言ってはあまりに酷。成章の隙ではない。御所の集中力につき
ます。精神的雰囲気的に成章優位の流れの中での連続攻撃を、焦ってペナル
ティを犯す事もなく凌いで一瞬でターンオーバーしたプレー、今大会『必見』
のシーンだったと思う。
御所。
オールブラックスの名前の由来の一説に、圧倒的に強い彼らがまるでグラウ
ンド一面を黒く覆ったように見えたから、というのがあるけれど、そんな話
が試合の最中にふと頭に浮かんだ。ある時には黒いユニフォームが忍者のよ
うにパーッと散り、又ある時には黒い波か壁のように相手を包み込み遮る。
凄いチームです。
成章。
その凄いチームに対し、0対3。何ら恥じる事のない結果。
普通なら「負けて悔い無し」というところ。しかし、あまりの結末に、直後、
殆どの選手が崩れ落ちて立上がれなかった。それを一人一人ひっぱり起こし
て整列させていた宇野君。もちろん彼も真っ赤な目をしていたけれど、視線
を落とす事なく顔をあげていた。あれが主将の矜持というものだろう。立派
でした。目標としていた全国制覇はならなかったけれど、京都に成章ありを
強く印象づけた素晴らしいチームだった。

 さあ、あさってはいよいよ決勝。
常翔啓光学園対御所工・実。
春の全国選抜大会決勝の(そして、あの9月15日の)再戦。
まるで絵にかいたような顔合わせ。(他の人達はどうだか知らないけれど)
私自身は、自分でも意外ですが、今日の結果が出るまで「決勝がケイコー対
御所だったら面白いなあ」というような想像や期待をしていなかった。でも
決まってみれば、何だか、運命的という言葉を使いたくなるような対戦だと
思う。
春はケイコーが優勝。秋には御所がリベンジ。三たびまみえた時、何が起き
るのか。
いずれにしても『高校ラグビー』の締めくくりにふさわしい熱闘になるで
しょう。

                        
                           200901/05 佳
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