No.98
Does Japan really have the qualification to host the 2019 Rugby World Cup?
Rugby World Cupの開催国として、2015年England と2019年日本、の推
薦(W杯運営委員会からの)が決まったらしい。最終的な決定は7月28日の
IRB理事会で下されるのだけれど、余程強力な反対意見が出ない限りは推薦
通りの結果となるのだろう。
2011年と2015年の招致立候補に対し「反対!」を唱えていた私としては、一
気に2019年度までもが2015年と同時にペアで決まるとは、ゆ、油断してたー、
とうろたえました。慰めてくれるつもりか、家人が、「ま、2019年ってった
ら10年先やし、その頃は◯◯(←現日本協会会長)はもうおらんやろ」と
言ってくれて、「‥確かにそーやな」と一瞬安心しましたが、でもねえ、問
題はそれだけでもないんだけど‥。
2015年のEngland大会でまず商業的成功(収入)を確保して、2019年は、
興行収入はさておき、過去、所謂ラグビー先進地域のみで開催されてきた
大会を、初めて、それ以外の(後進)地域(アジア)で行なう、という事
に意義をおくらしい。ジャパンマネーが欲しくて、ではなく、むしろ日本
で開催すれば商業的には苦しいかもしれないが「世界のラグビーの発展の
ためには」、との“高潔な”推薦理由には、他の候補国は反論のしようも
ないのかも。
けど、何度も言ってますが、その通りなら、つまり、日本での開催が本
当に日本の、アジアの、世界の、ラグビーのためになるのだったら、私だっ
て当然賛成する。反対するのは、大いに疑問があるからです。
W杯運営委員会曰く、
「開催迄の10年間、我々と日本協会には、素晴らしいワールドカップ大会を
開催して日本とアジアのレガシーを後世に永くつなげてゆくための枠組みを
準備する十分な時間がある」。
これ、翻って言えば、
「ワールドカップをホストするという事は、それを素晴らしい大会にしなく
てはならないのはもちろんのこと、日本とアジアに末永く築かれてゆくラグ
ビーレガシーの礎を打ち立てねばならない、その準備のための時間は10年」
って事ですよ。
できると思いますか、日本ラグビー界の現状体制で。
「直近に行なわれたU20ジュニアワールドカップJWCで、日本は記録的な観
客動員数をあげ、ラグビーワールドカップを開催するにふさわしい能力があ
る事を証明した」という評価がある。
‥だから、絶対ヤだったのよ、タダ券のバラ撒きにのせられて(すみません、
お金払って見に行ったかたもいらっしゃいますよね)見に行くのなんて‥。
JWCの観客数について言えば、昨年のWales大会での観客数は約5万人、今回の
日本大会では10万人を上回った。世界の常識からすると、U20という、年代別
に過ぎない大会に10万人以上が足を運ぶというのは、素晴らしい事と見える
に違いない。でも、考えてみて下さい、Walesの人口と日本の人口との違い。
Wales に、ScotlandとEnglandを加えても、日本の半分位なんだから、5万人
対10万人なんて、驚いたり喜んだりするほどの成果じゃないし、まして今回
日本はかくのごとくの無料招待を行なったわけで、有料入場者数だけなら3万
人とも言われてます。「記録的な観客数」の、それが実態なんです。
そんな錯覚をよいことにW杯をホストする大役に名乗りをあげて、本当にいい
んですか。
但し。
今、書いたように、私は「数」については評価しない。だけど、「タダ券だ
から来た」のかもしれないけれど、それでも「来た」観客達が、そこで各国
選手達のプレーを見て、刺激を受けて、又見たいと感じて‥無理矢理の動員
ではなく、自らの意志で熱意で(悪天候にもかかわらず)会場に足を運んで
観戦し応援していたのは事実だと思う。TV画面からも、見に行った人達が楽
しんでいる事がはっきり伝わってきました。これまで日本の「ラグビーファ
ン」は、「国内ラグビー」しか見ていない人が大半だったのではと思います
が、JWCがきっかけで世界のラグビーへの関心が芽生えた人も多いはず。だ
から、W杯招致への変な評価につながるのが嫌だったがために頑に抵抗してい
た私ですが、JWCを開催した事はとても良かった、と素直に認める。それどこ
ろか又やって!と思ってます。
そう。W杯はそれこそステータスが高すぎて日本ではまだ無理、恐れ多いと
思うけれど、U20JWCが、(あんなに魅力ある大会なのに)ラグビーがメジャー
である国々に於いては却って、エイジレベル大会であるがゆえにそれほど重
んじられておらず観客も集まらない、のであれば、喜んで日本がお引き受け
しましょう(笑)。毎年だっていいよ(笑×笑)。でもって日本協会はどん
どん無料招待をして下さい(爆)。長野の子供達や他の地域の子供達にも見
に行かせてあげられるよう、色んな場所で開いて下さい。会場近くの学校だ
けでなく、もっと広い地域でレガシープログラムを行なって下さい。それを
10年位続けたら、もしかしたら日本のラグビー、少しは変わるかも。そして、
そうなった時はじめてRWCを呼ぼう、と言えるのでは。
RWCをホストするという話に戻ります。
百歩譲って、日本での開催を、JWC同様(普通に考えれば当然それ以上)の効
果で、「日本の」ラグビーのためには(「世界の」選手達や観客にとっては
決して満足ゆくものにはならないと思うけれど)プラスになるはずだとして
是とするとしても、「日本とアジアの」ラグビーの普及浸透、発展‥が最大
のアピール点であるからには、日本開催が、(これも毎回しつこくこだわっ
ているのだけれど)どう「アジアの」ラグビーのためになるのか、そこをはっ
きりさせてほしい。シンガポールと香港とでも試合を行なうという事になっ
てるけど、単にそれだけ?まさかW杯運営委員会やIRBが、「日本でRWCを開催
する事が、真に世界に開かれたスポーツとしてのラグビーの未来への鍵とな
る」(日本協会コメント)ってな具合の曖昧模糊な言葉にフムフムと頷いて
いるだけなわけではなかろうが、とにかく私にはまるで理解できないので、
納得できるように説明してほしい。
2019年のホスト国、私に言わせりゃ南アでいい、というか、南アがいい。
Lions Tourを見ていても、南アでのテストマッチって(北半球の雰囲気とは
全然違うんだけど)すごいなーと思う。南アでの試合はいつ見ても観衆の数
が凄く(秩父宮の“殆ど満員”で「お客さんがよく入ってますね」なんて
言ってるレベルじゃない)、その大観衆が揃いも揃ってラグビーマッドとい
うかラグビーを良く知っていてノリが良い。有り難い事にはTV中継までもが
素晴らしい(国歌の際、画面に字幕を入れてくれる親切さには感激←笑、お
かげで真ん中のオランダ語だか何だかのパートも少しは歌えるようになって
きたかも)。一体何台のカメラを使ってるんだろう、と思う贅沢な映像。先
日のLions第二テスト のハバナのトライの時なんて、上空からの絵のおかげ
でバックラインのムーブがとてもよくわかり、ホーッと感心しました。
ついでに言うと、私なぞはその上空からの映像をスローで何度も見直さない
と飲み込めなかったのですが、南アが「これは行ける」と手応えを得たのか
このゲーム中に全く同じムーブを試みたシーンがあって、その際に今度はす
かさずLions―Tommy Bowe-が反応してハバナを止めていたのを見て、再び
ハーッと感心。そうそう(余談)、この日のLionsのバックスリーは全員
Irelandの選手で、選手紹介の映像(これがまたカッコいい)で、「Luke
Fitzgerald, Wing」「Tommy Bowe, Wing」「Rob Kearney, FB」と順番
に画面に登場してきた時には「うおーっ」と思いました(が、Kearneyは良
かったけど、Fitzgerald君は期待したほどではなかった)。も一つついで
に書くと(どんどん話がずれていく)、南アのバックローがSchulk Burger,
Juan Smith, Pierre Spiesの3人で登場した時にも「うおーっ」だったので
すが、Schulk Burgerは全然良くなくてがっかり。しかし何ががっかりって、
Lions勝利目前、最後の数秒、というところでの小河原君のレイトチャージに
よるPG逆転負け、これでしょう。スタンドで言葉を失って立ち尽くすLionsサ
ポーターのうつろな表情が印象的。痛恨のペナルティをおかした小河原君は、
Grand Slamのヒーローから一転A級戦犯になってしまいましたが、果たして
立ち直れるのだろうか。
それにしても(やっと話が戻って)とにかく南アでのラグビーって、2時間
の大スペクタクル、期待を裏切らないエンターテイメントという感じです。
アパルトヘイトで長らく世界から孤立していた南アが、マンデラ大統領の元、
初めてW杯を開催して見事に優勝した1995年大会、閉会式で優勝杯をピナール
主将とマンデラさんの二人が掲げる姿‥。あの感動よもう一度(笑)。‥う
ん、やはり、もう一回(2019年も)南アでいい(<がいい)。欧州(Six
Nationsの国々)特にホームユニオンの伝統、NZのアットホームでいて“ラ
グビー王国”らしいパッション‥等々、私的にはRWCは過去の開催国(いずれ
も素晴らしかった)でこのままずっと回り持ちしてくれても良いとさえ思っ
てます。で、Junior World Cupは毎年日本で開催(おいおい)。身分不相応
に2019年の開催に手を出すよりも、そのほうが絶対いいと思うんだけど。
とは言え、もしも、本当に2019年大会の日本開催が決まってしまったら、
反対派の私も嫌だ嫌だと駄々をこねてばかりいずに、ワールドカップを素晴
らしい大会すること、日本とアジアに末永く築かれてゆくラグビーレガシー
の礎を打ち立てること、のために、少しは努力をしなくてはいけないのだろ
うなあ。その準備のために過去に例のない10年の年月という特別の待遇まで
用意してくれてるわけだし。
でも、10年って、長いようで短い。日本ラグビー界の現状体制ではやっぱり
無理なのでは。
と、どうしても思考が前へ進んで行かないので、もう一度、日本開催に反
対する根本的理由に立ち返ってみる。
日本開催は、日本のラグビー、アジアのラグビー、世界のラグビーを発展さ
せるためにならない。
日本のラグビーのためには、日本自身が行なうべき改革が他にある。
アジアのラグビーのためにも、もっと良いプロジェクトが行なえるはず。
世界のラグビーのために、ラグビーというスポーツの最高の舞台であるRWCは、
それにふさわしい場所でふさわしい形で行なわれるべきだ。
最終決定の前に、IRB Councilがこうした声に耳を傾けてくれる機会がある
事を、切に願う。
2009/07/02 佳
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