No.107 「16番目のAll
Blacks」?
まだまだ先と思っていたのに気がつけば1ケ月を切ったBledisloe
Cup。
その開催に合わせ、ニュージーランド航空(Air
New Zealand)が、『16番
目のAll
Blacksを探せ!!』と題したユニークなキャンペーンを展開していま
す。http://www.16ab.jp/index.html
応募者は、制限時間3分内で、審査員の前で
(1)All
Blacksへの熱い想いをスピーチし、
(2)All
Blacksが試合前に自分達を鼓舞する“HAKA”を舞うのにならい、
All
Blacksを鼓舞するためのオリジナルのパフォーマンス(パフォーマンス
はダンス、演舞、歌、楽器演奏、アート、カワラ割り等なんでも可)を披露
そして最終審査では、このパフォーマンスをなんとAll
Blacks現役選手に対
して披露! その中で最もAll
Blacksに想いが伝わり彼らが勇気づけられる
パフォーマンスを披露した1組が、栄えある「16番目のAll
Blacks」に選ば
れて、
2010年のニュージーランドでの「ブレディスローカップ」にペアご
招待!
‥だそうです。
おおおーっ。
(1)はいいとしても(実際は話すのも苦手‥)、(2)が関門。そもそも人
並み以下の運動神経しか持ちあわせず身体を動かす事は得意じゃない
し、ダンスや演舞ったって見た目が美しくないとやっぱり「‥‥」だし
(泣)。NZ国歌なら5番までフルコーラスで歌えるんだけ
どな‥しかし単に「歌える」というだけで美声なわけでも歌が上手いわ
けではない、という点がこれも「‥‥」だし‥。
えっ? 応募する気かって? いえ、しません(笑)。
“All
Blacksへの想い”を、選手の前で伝えられるなんて機会は滅多に
ないのだから、下手でも何でも、♪ E
Ihoa Atua
‥ ♪ と思いっきり
歌ってこようかしらん(←最終審査に残る前提)、と考えない事もなかっ
たのですが、Bledisloe
Cup当日に上京するだけでも大変なのに、それ以
外に(第一次書類選考は通る前提→)第二次審査、最終審査と二回もオー
ディションを受けになんて行けない。
と、現実を考えて、断念する事にしました。どなたか、我こそはという
方がいらっしゃれば急ぎご応募を!
ところで、ごく最近、(ABsのスポンサーの一つである)Addis制作の、
昨年末の北半球ツアー(End
of Year
Tour)の様子を納めたプロモーショ
ンフィルムを見た(*)のですが、これが、秀逸な短編ドキュメンタリー
の趣き。7〜10分程度の長さのものが、第一章〜五章まで全部で5本。
Chapter
1: All Blacks vs Scotland “The Captain”
Chapter 2:
All Blacks vs Ireland “The Rookie”
Chapter 3: All
Blacks vs Munster “The Character”
Chapter 4: All
Blacks vs Wales “The Coaches”
Chapter 5: All Blacks
vs England “The Playmaker”
それぞれ、End
of Year Tourでの5つの試合 ― 対Scotland,
対Ireland, 対マンスター(Ireland), 対Wales,
対England ―
に沿いつつ、各回毎のテーマでまとめられています。
第一章には、ScotlandにルーツがあるRichie
McCaw(=“キャプテン”)
が登場。
*実は、これ、発表直後に何かで ― フィルムの中にも出て来る、
Addisの『Inside
The Black
Jersey』というキャンペーンでだったと思
うけど ― 見つけて、その時(第一章を)サーッと見た覚えがある。
バグパイプを吹くRichie、確かに見たぞ、うん。‥しかし、その頃忙し
かったのかもしくは“Richieよりも<北半球”モードに突入していたため
かは不明ですが、それほど印象が深かったわけではなく(‥思い出しまし
たが、以前見た時に一番気に入ったのは“ブタさんレース”のシーンでし
た。今回見てもめちゃくちゃ可愛い)、二章以降を見る事すら無かったの
ですが、ここに来て再び“All
Blacksモード”のスイッチが入ったところ
で見たら‥‥‥はまりました(笑)。
全編英語なので大半はわかりませんが(;_;)それでもAll
Blacksファン
にとってはとても興味深い。
第一章では、5週間で5つの試合をこなすハードスケジュールツアーへの
ABsの取り組みが描かれます。土曜日の試合に備えての1週間の準備、それ
を5週間繰り返してゆく‥。
練習風景がたくさん映るけど、とても基本的なことをやっているのが印象
的。
第二章は、このツアーで初キャップとなったReadが、ABsになるという
事について初々しく語っています。テストマッチで着るジャージの貴重さ!
重みというか、スペシャルだ、というのが良くわかります。
5本とも面白いけど、個人的に一番好きなのが第三章かな。
Munsterの、ラグビーへのlove&passionや、Munster戦で
Munster所属
のNZ出身の4選手(ハウレットとティポキと‥あとの2人はよくわかりませ
ん、すみません)がAll
Blacks相手にHAKAをやる!ところとか、‥画面を
通して熱と興奮が伝わってくる。
試合当日の街の雰囲気が「electric」という単語で表現され、高揚感の「
次元が違う」と言われるほどの大熱狂の中でのゲームで、Donaldがプレー
スキックを蹴る時にスタジアムがシンと静まり返る。近頃は相手キックの
時はブーイング、というのがお約束のようになっているのに、これは凄い。
試合後のヘンリーさんの、感極まったというか感に堪えないような表情と
言葉も頷ける。
Ali
Williamsのホストぶりもいつもながらチャーミング。ラストに登場
するおじさんのセリフを、私も彼になら言っても良いなあと思ってしま
う。
ABsへの認識を改める或は再認識するという意味では、第四章。“お茶
目な”ヘンリーさん(監督)も結構好きなのですが、お茶目なだけじゃな
いよなあ(当然です)としみじみ感じました。スミス、ハンセンの両アシ
スタントコーチと共に、ABsを作っていくということ、ABsとはということ
について、淡々と語る。ABsを俺が作ってやるんじゃーといった感じじゃな
くて、選手達への敬意も持ちつつ、ABsというチームで自分達が果たすべき
役割を、的確に心得ていると思えました。
第五章の主役はDC(=“プレイメーカー”)。天賦の才。そして、先の
章でもコーチ達から何度となく“お褒めの言葉”に預かっていましたが、
まさに優等生。練習の虫。彼がやって来たこと、やっていることを言葉で
書いてしまうと凄くキツイ感じがするのですが(事実、大変なことだとは
思いますが)、実際どんな難しくてタフなトレーニングであろうと彼がラ
グビーにかかわっている姿を目にして真っ先に受けるのは「この人、ラグ
ビーがホントに好きなんだなあ」という印象。それは前から感じていた(
『Small
Blacks
TV』についてのページで書いた事があります)けれど、
今回、実は「この親にしてこの子あり」だったのだと判明。お父さんがす
ごーいラグビー好きらしい。「僕がやっと歩けるようになった途端、オヤ
ジが最初にしたのが、ラグビーボールを手に持たせること」だったそうな。
なんてイイお父さんなんだー。というわけで、第五章は何だかほのぼのし
てしまいます(笑)。
でも。
本当は、ほのぼのとか単純に感心したとか好きとか気に入ったとかいう
のを超えて、打たれた、のです。All
Blacksに。
これまで、素人のくせに天下のABsに向かって文句を言ってきた(素人
ゆえに平気で言っていたのだと許して下さい)。今年のTri
Nationsも、
最後になるまで、「全然良くない」だの「弱々しい」だのと思っていた。
けど、All
Blacksはやっぱり ― ‥‥今、ここで、何と書くべきか悩ん
でしまった、世界ラグビーの頂点? 最高の存在? ― All
Blacks、
なんだ、と、先日の“納得”を再確認したというか、追認したというか。
‥何をいまさら、ですよね。
だけど、この先、少なくともMcCawがキャプテンをつとめている間、私が
All
Blacksに偉そうな口を叩く事は(多分)もう無いでしょう。どんなに
成績が悪かろうとも。言いたいのを我慢して口をつぐむのではなくて、そ
んな気がしています。“盲目的信仰”ではないつもりだけれど、“信頼”
(文字にするととても平凡)というのか。
去年あたりから、Richie
McCawに引かれる力(吸引される度合い)が
めっきり落ちていて、だから、上述の第一章を最初に見た時もサーッと
(Richieよりも<豚さん)だったし、今年のTri
Nations(の途中迄)
でも、書きこそしませんでしたが内心で彼ももう終わりかも、などとさえ
思っていました。
海よりも深く反省しています。ご免なさい、Richie。(第四章で)ヘン
リーさんが、彼を評して「まず自分がやってみせる、自分がやらない事を
ヒトにやれと言ったり決してしない人間」と言ってましたが、努力の出来
ない、ヒト任せの私には、それだけでも拝みたくなる(‥あっ、でも信仰
じゃなくて、信頼です)わけだけど、「フィールド上でもフィールド外で
もチームの皆から尊敬されている」、そんな人に私が何か言う事があるだ
ろうか‥と、(特別自己嫌悪とか卑下しているわけでなく)今回あのTri
Nations最終戦の後では自然に思えたのでした。
今迄は、頭では「私が彼ら以上に彼らの事をわかっているわけでもな
い」んだから「何を言ったってしょうがない」とはわかっていながら
も、何かあると、こんなんでいいの?とつい思ってしまっていて、「何
も言うまい」は、イコール「言いたいけど言わない」だったのだけど、
今度の「何も言わない」はホントに自分では自然な心境です。
だから。
(1)スピーチ や (2)パフォーマンス なんて、もういいんだ。
誰かの前で披露したりしなくったって、心で信じていればきっと(‥
←って、何か、どうしても“信仰”っぽいんですけど‥)。
ところで、応募しないからケチをつけるわけではありませんが、
16番
目のオールブラックス、と聞いて「16番はPRのリザーブ選手じゃないの?」
と思ってしまうのは私だけでしょうか(笑)。
Adidas
INSIDE THE BLACK
JERSEY
http://www.youtube.com/watch?v=hqptg-MrmYc&feature=player_embedded
http://www.youtube.com/watch?v=shNwVflrvWY&feature=related
http://www.youtube.com/watch?v=IjIHqpanuQ4&feature=related
http://www.youtube.com/watch?v=VI9d5zg-qJ0&feature=related
http://www.youtube.com/watch?v=YzRVPq8eg30&feature=related
2009/10/02
佳
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