No.110 ザック・ギルフォードへのラヴレター(‥‥かな?)
June testsのシーズンの頃「(DCに続くABsの#10は)いっそ、Aaron Crudenでどう?」と言った時(No.97)には、もちろん大真面目な発言でし
たが、正直殆ど現実味はありませんでした。ところが、その後のAir New
Zealand Cup(ANZC=NZ国内の州対抗選手権)での活躍ぶりに、Cruden、
Robbie Robinsonといった若手選手達がend of year tourで抜擢されるの
ではないか(ぜひ選ぶべきだ)という声が本国NZでも非常に多く聞かれる
ようになりました。
但し、蓋をあけてみれば、 “face of the future”として名前が上がっ
ていた中から、選ばれたのは一人だけで、CrudenやRobinson達は、来季の
プレーぶりをじっくり見てからでも遅くない、と判断されたようです(確
かに、若いですから、まだまだ時間はたっぷりあるわけだけど)。
同じくまだまだ時間はたっぷりある、けれど、彼の場合には来季迄待って
はという声はおそらく無く、満場一致で選ばれたであろう。それ程にANZC
で輝いていた。それが、今回初スコッド入りとなったZac Guildford。
ここ数年、日本では放映のないANZCですが、今年はZac(Hawkes Bay)を
応援したくて、毎週ハイライトを見てました。
end of year tourのメンバー発表の日曜日(10/18)。朝6時半(日本時
間)発表だと勘違いしていて、5分くらい前にカウントダウンするつもり
でPCを開いたら、6時頃に発表されていたみたいで既にリストが載っていた
のにはちょっとずっこけたけど。きっとあるはず、と思っていたとは言え、
リストの中に彼の名前を確認した時は、嬉しかった。
何故それ程になのか自分でも良く判らないのだけれど、お父さんの分まで
応援するよ、という気持ちがずっと心にあり、彼の活躍が、彼がお父さん
との約束(「いつか必ずBlack jerseyを着る」)をこんなにも早く果たし
た事が、とても誇らしい、そんな感覚さえあって。
メンバー発表後の1週間はあいにく仕事の都合(催事)でどうにも時間が取
れなかったのだけれど、次の日曜日(10/25、ABsが日本に到着した日)催
事も終わり(1週間前でホントに良かった、とつくづく思いました)、いよ
いよ試合まであと1週間。この1週間でサイン用台紙とカードをせっせと作
りました(前回参照)。実は、Zacに宛てては、カードではなくて、メン
バー発表の日に書き始めた手紙(といっても、忙しさと英語力の無さに
より、なかなか思う様に書き上げられず、まとめたのは28日、Wallabies
戦メンバーの発表の日でした)がありました。
遠征スコッド入り以来、彼の初キャップを日本で見る事を楽しみにして
いましたが、28日発表のリストには残念ながら彼の名前は無かった(;_;)。
けれど、試合前日になって、リザーブに名前を連ねる事になった。つまり、
初キャップは見られないかもしれないけれど、少なくとも彼が初めてthe
All Blacksのジャージーを着るその姿が見られる。その事を凄く幸せに
感じながら国立に向かった。
国歌斉唱での姿を目に焼き付けておくのをうっかり忘れていたけれど
(これも前回参照)、それ以外の場面ではもちろん試合をしっかり見な
がらだけれどできるだけ彼の姿を見ていた。
お母さんは日本に来ておられたのだろうか、お父さんはきっとそこに居
たよね。
そして、親戚でも何でもないのに何故かあなたの事が心から離れない私
も、しっかり見ていましたよ。
結局最後まで彼の出番は無かった。終盤、リザーブメンバーが順々に交
替で入っていく中、スタッフがベンチに来る度、「出るか?」「次
か?」と期待しながら見ていて‥一度「次、出るか?」と思った時、後
方の席のNZ人もそう思ったらしく「Go,Guildford. Come On, Zac!」と
叫ぶので、つい一緒になって「Yeah, Come On, Zac!」とかって私も呼ん
でたんですが(笑)。最後は、ま、いいや、という気になった。5分位だ
け出て来て初キャップとかっていうより、次の試合で“ちゃんとした初
キャップ”(←キャップにちゃんとしたもしてないもないのだが)をとら
せてあげたいなんて思ったりして。
「本日はご来場ありがとうございました」のアナウンスが流れた後も
タッチフットを続けているZacを、“専用色紙”&延べ1週間くらいかけ
て書いた(!)手紙とを、「紐とクリップ」に取り付けて待った(=ここ
で前回書いた「失敗2」が発生)。待っているすぐ前方でタッチフットを
していたので、てっきり、私が待っている場所の真下にある通用口から
帰って行くものだと(そこで吊り降ろして渡せると)信じ込んでしまって
いたのがその次の失敗。別の出口に向かう可能性が少しでも頭にあればす
ぐ対応できたはずなのに、「‥ えっ!?」気がついた時には、タッチフッ
トグループは私の真下ではなく、中央の出口に向かっているではないか。
うっそー、と慌てて移動したのですが、荷物を抱えているのと障害物が
あったりで中央席辺りに辿り着いた時、Zacの姿は既にスタンド下へと消
えていた(失敗3)‥‥ガーン‥‥ショック‥‥。
‥もう、この際サインはいい、サインなんてもらわなくてもいいから、
せめて一生懸命書いた手紙だけでも渡したい‥。そう思って、辺りを見
回しました。必死の思いでVIP席も見上げましたが‥誰もいない(後で思っ
たのですが、もしこの時、VIP席にNZ首相John Key氏が残っておられたり
なんかしたら、思い余った私は、「Mr.PrimeMinister!」とかってわめき
ながらZac宛の手紙を彼に手渡したんだろうか‥笑えます)。
呆然としつつも、どうしようもないのでスタンドを後にするべく階段を
登り、最後にもう一度未練がましくフィールドのほうを振り返った瞬
間、見覚えのある顔が中央出口に向かって歩いて来るのが目に入りまし
た。
「!!!Mick(ABsのキッキング・コーチ)!!!」
ダダダーッと階段を駆け下りる私。Mickさんがあと少しでスタンド下に
消えるという僅か前にかろうじて手すりのところに到着して
「EXCUSE ME!!!」と叫びました。
視線を上げるMickさんに「Could you please hand it(正しくはthisだ
ろう)to Zac Guildford!?」と手紙を見せると、「Sure」と頷いてくれた
ので、(う、うわー、良かったー)ホッとしてサンキューベリマッチだの
アイアプリシエートだのと一生懸命お礼を言いながら手紙を渡しました。
Mickさん、ホントに有難う。
かくして、私の手元からは手紙が一通旅立って行っただけで(前回も書
いたけど)使えないカードとサイン用色紙が山のように残ったのです
が、帰り道で色紙の内の1枚はちゃんと役立たせる事ができました。
帰り道、試合を見に来ていたトップリーグの選手達の姿が結構あって、
サインを貰おうと思えば貰えない事もなかったのですが、あまりサイン
集めに関心があるわけでもない(※但しインターナショナルには弱い=
No.44参照)上、歩いているところをわざわざ声をかけて立ち止まらせ
るほどの事もないかと思って駅に向ってすたこら歩いていたのですが、
途中で、わざわざ立ち止まらせなくても「立ち止まっている人」を発見
しました。
Latuさん(笑)。仲間と待ち合わせをしているらしく何人かと喋って
待っていました。以前サインしてもらった時は自分用だったので、今回
は「安曇野ラグビースクール、って入れて下さい」とお願いして書いて
もらいました。
‥なんでBledisloe Cupに行ってLatuさんのサインなのかって? ま、い
い事にしておきましょうよ。
Zacは多分今週末のWales戦で初キャップを獲得しそうです。
少し早いけど、おめでとう。
ここでは放映が無いのが本当に残念だけれど、日本の空の下から、素晴
らしいデビュー戦になる事を祈ってます。
2009/11/03 佳
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