No.126 選抜決勝
「ある程度想像がつく」(からそれほど見たいとは思わない)と書
いた通り、全国選抜の決勝トーナメントは、各試合の勝敗だけなら
100%的中。だけど点差予測はかなりはずれました。
まず朝高/成章戦も、あれほど差がつくとは思ってなかった。でもま
あ、もともと朝高は去年見た時に(No.104参照)こりゃあ来年は強くなり
そうだなあ、と楽しみにしていたら来年どころか早々とその年(去年)に
啓光を破って出場を決めた花園でベスト4まで進んでしまった位なので、
今年かなり強いのは当然と言えば当然。
しかし、そうは言ってもヒガシとはだいぶ差があるだろうな、と失礼な
がら思い込んでいて、準々決勝での仰星や準決勝での桐蔭の戦いぶり
は、対ヒガシに照準を合わせる各強豪校の「基準」になるはず、と書い
たくせに、決勝(朝高)についてはそういう認識がなかった(<「ヒガ
シと桐蔭は決勝で当てたかったよなあ」などと思ってました)。ところ
がどっこい、準々決勝/準決勝だけでなく、決勝までもが予想外に(と
敢えて言って失礼の上塗りをしてしまいますが)僅差のゲームで、結果
(だけ)を目にした時、
おっ? 今年はヒガシがそれほど強くないってこと?
それともやっぱ大阪勢や桐蔭がかなり力があるってこと?
‥どっちなんだろ?
うーん、やっぱり(常翔学園が進めば行くはずだった)4日だけでも見れ
ば良かったか(笑)、などと、「気になる」「気になる」とずっと思って
いたのですが、やっと決勝を見る事ができました(先週初めに放映はあっ
たのだけど来客等で、日曜日の夕方になってしまいました)。
いやー、これは面白い。
厳密な意味での「パーフェクトな試合」ではないけど、それでも(まだ
春なのに、花園を待たずして)「最高の一戦」と言ってしまいたくなる
くらい、熱く、エキサイティング。
点数だけは競っていても内容には明らかに差がある、というゲームも多
いけれどこれは違う。内容もがっぷり四つ。朝高全く負けてない。「両
校優勝」です(多分、一番印象に残ったシーンは、ロスタイムの逆転ト
ライ、という人が多いのだろうけれど、私の感覚ではあれは“おまけ”)。
朝高の良さは、とにかく、前に出るところ。例のNo.104の試合
の時に「何で待つねん?!」と後ろの席のお父さんがしきりに
言ってたなんて、夢だったのではなかろうか(笑)。全然待ちません。
「待った無しの<前>」。
何となく前、じゃなく、ただのお題目の<前>でもなく、前に出て負け
るのと前に出ないで負けるのと‥もし前に出ないで負けたら絶対後悔が
残るから、悔いが残らないように、少なくとも「もっと前に出ていれば
良かった」とやり残した気持ちにだけはなるまい‥‥と、そういう意識
と気迫が立ち上ってくるような、決然とした<前>。花園で仰星と対戦
した東京高校にも(シンビンをとられる迄は)それがあったけど‥潔く
て何とも気持ち良い。
しかも、あのタックル!
ここ数シーズン、ヒガシの子達の腰にタックルに入りながら余裕でボー
ルをつながれてしまっている相手チームの姿、というのをイヤになるほ
ど(笑)見て来たけど、今日(←見たのが今日)の朝高と来たら、“膝
下刈り”に、“浴びせ倒し”に、“突き刺さる”タックルに‥‥
くーっ、かっこいいっo(≧∇≦o)
これぞ『対ヒガシに照準を合わせる各強豪校』が『基準』にすべき、前
に出るDF、でしょう。
しかしそれにしても、結果を知っているくせに3本目のトライ
の時に「これで朝高が勝ったな」とつい思ってしまった位「朝高のゲー
ム」だった、にもかかわらず、そこから同点に追いついた(正確に
は“逆転した”のだけど、逆転は“おまけ”なので)東福岡の勝負強さ
というか逞しさも見事でした。
実際、東福岡の“余裕しゃくしゃく”じゃない試合、というのを久しぶ
りに見たけど、逆に「イイ!」と思ったもん(笑)。
昨日(日にちとしては後だったのだけど、私が見たのはこっちが先)
Crusaders vs Waratahsのライブ放映を見ながら「ラグビーって、つま
るところ腕力と脚力だなあ」(無論、同レベルのチーム間のゲームに於
いて、という前提で)、とつくづく思っていました。
ここで言う脚力とは、スピードとかスペースを走る能力のことだけでな
く、文字通りの足の力、(殊に接点での)推進力、を指しています。如
何に足を止めないでプレーできるか、スタミナはもちろん、モールの時
もラックの時もタックルでもとにかく足を止めないでガッガッガッと
50cm、1m、前へ行く力。
今回仰星と桐蔭は見ていませんが、朝高と東福岡の一戦でも、その脚力
の重要性というのは強く感じた。どちらのチームも、腕力、脚力、かな
りのものです。うーん、すごいぞ(感心)。
結果だけ見ていた時には、「少なくとも、今年も東福岡ダントツ独走
かよ、みたいな感じじゃない分だけ面白そうかな」くらいの感覚でした
が、決勝観戦後では、朝高はもちろんリベンジに来るだろうし、桐蔭も
仰星も「ヒガシの倒し方」をしっかり練って来そうだし、何より東福岡
も今回で一皮剥けたのではという気がして、うわー、なんか楽しみー、
という感じでわくわくわく。
ともかく、冒頭近くの、今年はヒガシがそれほど強くないのか? 大
阪勢や桐蔭がかなり力があるのか? という疑問の答は明々白々で、ヒ
ガシは強い。今年のヒガシも強い(点をとられてもそれ以上に取り返す
しぶとさという意味では去年以上かも)。そして、ヒガシを追うチーム
達、これもかなり強い。
すごいぞー(感心)と楽しみー(わくわく)とで、今夜はまだまだ眠
れそうにありません=『レディ・ジョーカー』文庫版を読むとしよう
(笑)。
2010/04/11 佳
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