No.153 Bronze Final

3位決定戦の「意義」については賛否両論。

最も的を得ているであろう見解の一つが、「所詮は(チケット代等の)収入
のためのゲームに過ぎない」との批判。確かにその通りには違いない。

でも、今夜、Eden Parkに集った観客達が目にしたものは決して単なる消化
試合ではなかったし、当事者達つまりWallabiesとWalesにしても、決勝に
進めなかった落胆で「もうどうでもいいや」と投げやりだったなんてこと
はなく、全力を尽くしてプレーしていた(尤もそれは「Bronze medalを獲
りたいから」ではなく、「テストマッチ-ことにRWCという場所での-だから」
誇り高く戦ったのだろうけれど…)と思う。

 WallabiesはBeale(彼がABs戦に出られなかったのはWallabiesにとって
は痛かった)が早々に故障退場、その後なんとCooperも離脱←これは私に
言わせれば「最初からCooperなんかじゃなくてBarnesにやらせときゃいい
のよっ」というくらいのものですが(笑)、あのような去り方を余儀なくされた事で、「悪役」の彼も少しは<(_ _)>惜しまれての退場になったよう
な…

と、満身創痍状態でした。実際、前々週(と前週)のダメージからまだ完
全には回復していないのでは、とも見えたし。でも、もちろん地力はある
し、あの怒濤のBoksを凌ぎぎった驚異の粘りは(くたびれてはいても)枯
れてはいない。

Walesは、前週のSemi Finalもそうだったのですが、今回も「キック1本さ
え入っていれば…」という試合。なんてもったいないんだ(泣)。
試合に負けたって、別に銅メダルなんか無くったって、Walesが見せた素晴
らしいプレーの価値が下がるわけでも何でもないけれど、でも、それにし
てももったいない。

1本目の(トライ数は両チームとも互角の2本ずつ)トライなんか、「ああ、
やっぱりShane Williamsは“国宝以上”(No.52)だった」と納得してし
まう見事さだったし、

2本目-これは文字通りラスト1分からのものだったけれど-は、誰もが幾
らか期待しつつも「(ここでWalesにトライをとらせるなんて)ヤボな脚本
家なら考えそうだけど、そんなこと実際にはまず起こらん」と認識してい
るそのことを、まさに現実にしてしまったという、「ドラマチック」(事
実は小説より奇なり)なものだった。うむ、こういう事ができるのがWales
なんだよな〜。

 と書いていて思い出したけど、4年前のWalesはFijiの前に「ドラマチッ
ク」に散って予選敗退したんだったっけ(No.38)、そういえば、あの時も
結果だけみれば「キック1本」が明暗を分けたんだ…ってことは、Wales、
4年たっても相変わらず詰めが甘いぞってことか(爆)。

 詰めが甘い(ワキがあまい)のはさておき、今大会のWalesがとても魅力
的なチームだった事は間違いありません。今日の試合後の(NZの)コメン
テーターの「どちらかが勝ってどちらかは負ける(というだけのこと)」
の発言通り、どちらが3位だ、銅メダルだ、という結果が重要なのではなく
て、Wallabiesは(3位・銅メダルが誇らしいのではなく)、この魅力的な
チーム・戦い甲斐のある相手に対して勝った、という事を誇りにして喜ん
でいましたよね。

 ま、そんなわけでラグビーウォッチャーにとっては、「経済的理由で設
定されている3位決定戦」でさえ(前回大会の3位決定戦も“意地をかけた
戦い”だったし)十分面白いのでした。「3位決定戦」なんて名前じゃなく、
もう少し気の利いた名前にすればいいのに。「もしかしたら優勝してもお
かしくなかったチーム同士のマッチ」(←ちっとも気の利いたネーミング
ではない!)とか? そーだ、いっそ敗者復活戦とかやったりして、「こ
こで勝ったらもう一回チャンスがあるぞマッチ」は? 試合数が増えて収
益が上がり、IRBはホクホク、観客も嬉しい、素晴らしい案ではないでしょ
うか(爆)。

冗談はさておきWallabiesもWalesもお疲れ様でした。さあ、あさってはい
よいよ決勝。お休みなさい! 


                        
                           21 Oct.2011 佳
                           
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