No.154 .....and Final

・・・・・・というわけで(笑)8年越しの夢叶い(正確には、NZにとって
は24年越し—NZで(自虐的に)歌われていた“24 years without Webb
Ellis”という名曲(?)があるのですが、もうそれを聴くことも無いです
ね—の優勝ですが。今日試合前のメンバー紹介の時に解説者が「 (第一回大
会で) 優勝した時、Daggはまだ生まれてなかった」とか言ってて—Cruden
とかZacとかもそうですよね—、つい時の長さを感じてしまいましたが)つ
いに優勝杯を手にすることが出来たABsです。パチパチパチパチ←拍手!!

 優勝報告。実は、準決勝、3位決定戦と「ノート」を送ったあと、HP管理
者のIさんに「(決勝の)日曜の夜にもまた書きますっ」と言っていたのに、
今の今まではしゃいでていてあやうく忘れるところでした(爆)。
「決勝はこれ(ABsのタトゥーシール)を貼ってTVの前で応援してね」「うんっ
」・・とホストと言い交わして来たので、ちゃんと約束を果たしたところを
見せねばと、写真(=タトゥーシールを顔にも手にも貼り付けてTVの前で
声援を送る、の図)付き「優勝おめでとう」メールを送ったりして、「めで
たいめでたい、良かった良かった、へっへっへ」と盛り上がっていて・・。

 8対7。
これぞテストマッチ、というスコアではありませんか。うふふふふ。
えっ? 世の中広しと言えども、今夜のゲームを見て全然胃が痛くならな
かった、という脳天気なABsファンは私一人くらいのもの? ですか?
うーん、確かに一緒に見ていた弟は、「うわ~っ、やばいんちゃうこれ?」
とか言ってましたが、私はずっと「大丈夫だいじょうぶ」と余裕をかまし
ていました(おほほほほ)。
後半、仏が起死回生のトライをあげ、弟(とNZ国民)が凍りついている横
で、「大丈夫だいじょうぶ、まだ1点勝ってるもん。1点でも勝ってるほ
うが有利やし。1点差でも勝ちは勝ち♪」
仏が逆転のPGを狙う段では、「あれ? おかしいな、1点差でも何でもとに
かくABsがリードして最後まで行くっていうことになってんねんけど(私の
頭の中では)・・・・あ、そーか、このキック、決まらへんってことやわ、
大丈夫だいじょうぶ♪」。果たしてゴールは不成功に終わり「ほら、な」。
弟に言わせれば「全く根拠の無い余裕」だったわけですが、一応自分として
は長年ABsを見てきて、試合を見ながらの「何となく負けそう」とか「負け
るかもと」いう感覚の的中率がかなり高くなっていてその点今日は僅差であ
っても最終的には勝つ、という感覚しかなかったし、今回こそはABsが優勝
だと信じ切っていたからか、まーったく心配しませんでした。
イエーイ、祝NZ優勝!←まだはしゃいでる(笑)

 数日前の記者会見で、優勝杯に実際に触ったことがあるかどうかと尋ね
られたRichieが、「いや。まだ。・・つまり(優勝しない限りは)まだそ
の資格がないように思うから・・」と答えていて、「日曜には、堂々と優
勝杯をかかげられるよ、きっと!」と(多分このインタビューを聞いていた
人全員が)思ったのだけれど、その通りになって、本当に良かった。Webb
Ellis Cupを受け取る時のRichie、最高の顔してましたね。

 2001年のEnd of year tourでABsデビューを果たしていた彼を私が初め
て目にしたのは(当時はあまり海外ラグビーを見ていなかったため)1年半
以上たってからの2003年夏。
そしてその年のW杯では、まだ初々しさの残る(考えたら今のZacくらいの
年齢だったんだから無理もない)彼のプレーにすっかり魅せられた。それ
でも、たまにピッチの外で、例えばロッカールームから出てくる時などに
TVカメラが彼を捉えたりすると、表情を緩ませないままぎこちなく目をそ
らしたりする、そんな感じだったから、どちらかと言えば縁の下の力持ち
的な、目立たないところで黙々仕事をするだけの地味な選手なんだ、と思っ
ていたのだけれど、いつの間にか、ABsのキャプテンとして、試合を離れた
場でさえ始終注目を浴びる立場になっていった。
ニコリともせずに目を逸らすばかりだった若者が、カメラが彼を捉えるこ
とが「たまにある」どころではなく、カメラが彼を捉えないことのほうが
珍しい、そんな存在になるということ、しかももう何年もそんな存在であ
り続けていること・・それがどんなに重責で大変なことかを思ってみる(
思ってはみてももちろん想像を超えているんだけれど)。
 でも、そうした重責、失敗や挫折、苦労、犠牲・・すべて今日のEllis
Cup一つでチャラにしていい、と彼は思っているに違いない。
傍から見ていてもそう確信できるほど満ち足りた顔でした。

 最近は、正直言って、プレーにというより、キャプテンとしてのリーダー
シップにその存在意義があるのかなという感じのRichieでしたが、今日の
彼のプレーは良かったと思う。Man of the matchは仏のDusaoutoirでした
が(いや、実際私もDusaoutoirを挙げたけど)Richieでも良かったくらい。
余談ですが、IRB最優秀選手にNZからKaino, Weepu, Nonu の3人が候補入り
していて、Finalで目立てば確定というところだったんだろうけど、3人とも
今日の出来だけ見るとイマイチかも、Weepuなんてキックはずしまくってた
し・・尤も仏のトライチャンスを防いだDFもあったから大殊勲でもあります
が。
 
 何はともあれ、これで、Richie McCawの名前は、悲願の優勝キャプテンと
して、All Blacks史だけでなく、NZの国民、世界中のファンの心に、永遠に
刻まれることでしょう。
 でも・・・・・・・
何年も前(2003年末か04年初め頃)もちろんまだABsのキャプテンになんて
なっていない頃、「いつか引退する時、ファンに、どんな選手として自分
の事を覚えてもらいたいと思う?」と聞かれたRichieが、こんな風に答え
ていた。
“ピッチに立つ限り常に全力で誰に対しても恥ずかしくないプレーをして
いた選手。そのポジションで最高の、しかし決して謙虚さを忘れなかった
選手”

 ABsキャプテン、ヒーロー、伝説のスター・・そんな肩の荷はもう降ろし
ていいよ、Richie。
この先あなたがどんな道を進もうと、どんなに落ちぶれようと(笑)、私
は、きっと、あなたの言った通りに、あなたの事を記憶し、思い出す、と
思う。
本当にほんとうにお疲れ様でした。そして心からおめでとう!!! 

                        
                           23 Oct.2011 佳
                           
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